沖縄南部・こども医療センター 夜間一次救急を制限 職員の休業増深刻


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 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(和氣亨院長)は2日、救急救命センターの受け入れを一部制限すると発表した。入院の必要性がない軽症者などの一次救急が対象で、重症患者は24時間対応する。平日は午後5時から翌日午前8時まで、土日祝日は午後10時から翌日午前8時までの間、救急車での受診やかかりつけ患者の診療のみに対応するという。県立病院では県立中部病院が7月20日から一次救急を制限している。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って病院職員の休業者の増加で診療体制の維持が困難となったため、同センターは1日、業務を優先度が高い内容に絞る災害時事業継続計画(BCP)を発動した。

 新型コロナ以外の一般入院や手術・検査については緊急度や重症度が高い患者を優先し、外来紹介は同センターでなければ対応できない専門医療のみに対応している。一般外来については通常通り予約診療を行うという。同センターの稲嶺秀樹事務部長によると看護師を中心に約90人が感染などで欠勤しており、現場の業務が回らなくなっている。救急医療の現場は特に深刻だが、他の診療科から応援を出せないほど人手不足が深刻化しているという。

 救急の受診者は一時は1日200人を超えていたが、現在は100人程度とやや改善している。それでも半数は発熱などの軽症者のため、重症者対応などの業務を圧迫している状態は変わらない。

 新型コロナ以外の一般病床使用率も常に100%前後が続き、新たな患者を入院させるために別の患者を退院させないといけない事態だ。通常は、同センターの地域連携室が慢性期病院への転院などを調整するが、周辺の医療機関も同様に逼迫(ひっぱく)しており、受け入れ先もなかなか見つからないという。

 稲嶺部長は「現場からは『今が一番きつい、もう限界』との声がずっと寄せられている。救急の制限は難しい判断だが、やむを得ない事態であることを理解してほしい」と語った。現在の状態が改善されなければ、「避けたいことだが救急以外の診療制限も検討する可能性はある」と付け加えた。 (嘉陽拓也)