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乳児死亡の認可外保育園、昨年に那覇市が10項目以上の改善指導 保育環境改善や施設の不備 沖縄県は各市町村に注意喚起


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沖縄県庁

 那覇市の認可外保育園で7月30日、生後3カ月の男児が心肺停止の状態で救急搬送された後、死亡した件で、県は3日までに、各市町村や保育事業所に対して文書で緊急の注意喚起と再発防止の徹底を呼び掛けた。那覇市は3日、発生日時や状況、施設名を市ホームページで公開するなどし、早急な再発防止策に取り組む考えを示している。

 県の統計によると、1987年から今回の事案までに、保育施設などで発生した死亡事故は22件。最近では2012年11月に2件発生し、石垣市と名護市で、いずれも睡眠中の乳幼児が亡くなっている。

 県は「保育施設における事故防止および救急対応策の徹底について」との文書で、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防や睡眠中の事故防止などのほか、救急対応策や安全確保、健康管理態勢に万全を期すよう呼び掛けた。

 那覇市こども教育保育課によると、男児が亡くなった保育園は市の指導監督基準を満たしておらず、19年の保育事業開始以降、これまでに複数回の立ち入り検査を実施。21年11月の立ち入り調査では、重要事項にあたる「乳幼児突然死症候群の予防」や「環境および安全性の確保」など、10項目以上にわたって保育環境の改善や施設の不備を指摘し改善指導を行った。

 那覇市は緊急の対応として、運営停止中の同園の利用者に転園などのサポートを行うとともに、事案の詳細な検証を進める方針。

 関係者によると、同園は1時間当たり数百円で一時保育を受け入れていた。突然の依頼や飛び込みも多く、利用者の中にはコロナ禍でも詳細な手続きなしで対応してくれると知られていたという。
 (高辻浩之)