2018年の前回知事選の雪辱を期す佐喜真淳氏は、政権与党の支援を受ける候補者として政府との「信頼関係」を重視。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題を巡って国との関係が悪化する県政への批判を強めるとともに、落ち込んだ経済の立て直しに最優先で取り組む姿勢を前面にした。
辺野古移設に対する自身のスタンスでも、埋め立て工事が進んでいることなど4年前との違いを挙げ、「一日も早い普天間返還のためには移設が必要だ」として、日米合意と足並みをそろえる方向に踏み込んだ。
辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多元知事が14年の知事選で敗戦して以降、自民党の候補者が知事選で「辺野古容認」を明確に掲げて臨むのは初めてとなる。佐喜真氏は宜野湾市が地元でもあり、普天間周辺の危険性除去に向けた現実的な方策として、移設容認の立場に転換した形だ。
ただ、県民の間にさらなる基地負担への反対は根強く、自民の候補者は辺野古移設の是非をあいまいにすることで争点化を避けてきた。大浦湾の軟弱地盤など、埋め立ての実現性は解決に至っていない課題も多い。
一方で、7月10日に投開票された参院選で、移設容認を掲げた古謝玄太氏が、移設反対を訴えた現職の伊波洋一氏に2888票差まで迫ったこともあり、自民党県連内には「辺野古は最大争点にならない」(関係者)との見方が上がる。
知事選を争う玉城氏、下地幹郎氏を含め、新基地建設への主張は三者三様に分かれ、今知事選の明確な争点となる。
(大嶺雅俊)