【深掘り】保守分裂、旧統一教会との関わりで逆風も…県政奪還の鍵は地方選との連携 佐喜真氏出馬表明 沖縄知事選


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会見を終え、集まった支持者と拳を合わせる佐喜真淳氏(左)=5日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 9月11日投開票の知事選に向け、前宜野湾市長の佐喜真淳氏が出馬会見を開き、改めて県政奪還への意欲を強調した。政権与党の自民、公明両党も近く推薦を出す見通しで、9日には政策発表を予定するなど一気に選挙ムードを高める。一方で、同じ保守系で前衆院議員の下地幹郎氏の参戦による「保守分裂」の影響に加え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりへの批判もうずまく。

 佐喜真陣営は当初、前回知事選と同様に玉城デニー氏との一騎打ちの対決構図を想定していた。だが、下地氏の出馬表明を受けて構図は一変。保守層が割れる懸念から陣営には動揺が走った。

 自民党県連の幹部は現状について、昨年の衆院選で下地氏を支援した国場組など有力企業の多くが佐喜真陣営の支援に回っていると指摘。「(下地氏が)組織的にできることは、もうほとんどない」と見通し、下地氏出馬の影響を否定する。

 それでも別の幹部は「下地氏は数万票は取る力がある。玉城氏と接戦になれば影響する。逆にその危機感を引き締めにつなげるしかない」と警戒感を隠さない。

 旧統一教会との関わりに注がれる厳しい視線も足かせとなる。佐喜真氏は7月27日、同教会の関連団体への集会参加を認めた上で「誤解を招くような経緯があった」などとして陳謝する声明を発表し、火消しを図った。だが、旧統一教会と政治との関わりへの追及が全国的に続く中、佐喜真氏を巡ってもSNS上を中心に批判はくすぶる。

 逆風もある中で陣営が鍵を握るとみるのは、知事選と同日選挙になる25市町村の首長選・議会議員選とのセット戦術だ。地方選は保守系が革新系よりも多く出馬する傾向にあり、連携による票の掘り起こしを狙う。

 佐喜真氏も保守系の地方議員候補の事務所開きを精力的に回るなど、協力態勢の構築を進める。

 知事選の前哨戦に位置付けた7月の参院選沖縄選挙区は、自民公認の新人候補がオール沖縄の現職に敗れた。それでも自民党県連は僅差に迫ったことを「追い風」と捉える。「一歩及ばなかったとは言え、無名の新人で27万票を獲得した。自公の連携や企業の協力はうまくいった」と総括し、知事選での組織戦に自信を見せる。

(大嶺雅俊、明真南斗)