県議会は8日、中国人民解放軍による軍事演習で波照間島近海の排他的経済水域(EEZ)にミサイル5発が着弾した事態を受け、中国に対して「沖縄近海における軍事演習は一切実施しないよう強く要求する」などとした抗議決議を提案することを決めた。合わせて日本政府に対して軍事衝突を回避するための冷静な交渉を求める意見書も提出する。決議と意見書は同日の総務企画委員会(又吉清義委員長)で審議された。9日の臨時会に提出され、全会一致で可決する見込み。
中国に対する抗議決議案では「軍事対軍事ではなく、あくまでも平和的な話し合い、外交交渉で解決するよう強く要請する」とした。日本政府に対する意見書案でも「中国、米国に対して、軍事衝突を回避するための冷静かつ平和的な交渉で解決を図ることを要請する」とした。
一方、総務企画委に出席した嘉数登知事公室長は、9日以降に中国に訓練中止を求めるよう日本政府へ要請する姿勢を示した。嘉数氏は「今後、県民の生命財産の安全を確保する観点から緊張緩和と信頼醸成、ならびに地元への情報提供などについて政府に申し入れをする」と述べた。
米下院議長の訪台を受けた中国の軍事演習を巡って委員から意見が相次いだ。仲村家治氏(沖縄・自民)は「台湾有事の可能性は大きくなった。県としては、危機管理体制を早急に整えてほしい」、當間盛夫氏(無所属の会)は「県は、米国に対しても『アジアで緊張の度合いを増すようなことは自粛してほしい』と要請するべきだ」などと意見が上がった。
(梅田正覚)