性暴力の根絶を訴え、花を手に集う「フラワーデモin沖縄」がきょうで3年を迎える。デモは2019年3月に4件の性暴力事件の無罪判決が相次いだことをきっかけに東京と大阪で4月から始まり、全国各地で毎月11日前後に開催されている。沖縄では同年8月11日に初めて開催され、那覇市泉崎の県民広場に約200人が集まった。主催者の一人、上野さやかさんは「これまでたくさんの人が自分の体験や思いを発してくれた」と語る。
ことし7月には、フォトジャーナリストで複数の女性への性暴力が報じられている広河隆一氏の那覇市内での写真展中止を巡る一連の問題に対して抗議文を発表。他県のデモ主催者からも賛同と連帯の意思を示すメッセージが届けられた。
デモを続ける中で、沖縄特有の性暴力をめぐる問題も浮き彫りになった。基地が集中する沖縄は米兵による性暴力事件が起こると注目されがちだが、性暴力は家族や職場、学校などにいる身近な人との間でも絶えず起こっている。
上野さんはデモに参加していた女性が、米兵から性暴力を受けた被害者と比べて「自分がされたことは大したことない」と苦しみを抱え込む姿を目にしてきた。「性暴力は加害者が絶対的に悪いにも関わらず、被害者が『大したことない』『自分が悪かった』と思わせられる社会の圧力がまだ残っている」と指摘する。
デモのきっかけとなった4件の性犯罪の裁判のうち、控訴された3件はいずれも二審で逆転有罪になり、実刑判決が確定した。だが時効により起訴できない事件も多くあることなどから、時効の延長や「同意なき性交」を処罰の対象とするよう刑法改正を求める声も高まっている。上野さんは「これからも『性暴力は許さない』と声を上げ続ける」と力を込めた。
今後も毎月11日に那覇市泉崎の県民広場でデモを行う。きょうのデモは午後7時から同7時半まで、サイレントスタンディングのみ実施する。
(嶋岡すみれ)