FMやんばる、名護全域へ 放送エリア拡大 災害情報いち早く発信


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放送エリア拡大を記念した放送に出演したFMやんばるのパーソナリティー「ジョバンニ」こと、新城拓馬社長(右)ら=7日午後7時ごろ、名護市宮里

 【名護】コミュニティーラジオ局「FMやんばる」(名護市)は7日午後7時から、周波数を従来の77.6メガヘルツから87.7メガヘルツに変更し、新たなスタートを切った。新電波塔が運用されたことで、放送エリアはこれまで市西海岸側が中心だったが、市内ほぼ全域に拡大した。同局のパーソナリティー「ジョバンニ」こと、新城拓馬社長は「開局当初からの念願だった。災害時、情報で地域の皆さんの命を守る役割を担いたい」と意気込む。

 放送エリア拡大は、既に使用していた県立北部病院の無線塔に、市中央部の多野岳に設置した新電波塔が加わることで実現した。今帰仁村など周辺自治体の一部でも聴取可能だ。設置の資金は、クラウドファンディングなどで募り、808万2375円の寄付があった。電波塔は自家発電できるため停電時でも放送可能だ。4日付で総務省から無線局免許状が交付された。

 同局はこれまで市と協定を締結し、パーソナリティーが現場から中継するなどリスナーへのいち早い情報の提供に取り組んできた。地元タクシー会社とも災害時の連絡協定を結んでおり、冠水や倒木の情報を発信することもできる。

 新城社長は「防災は一丁目一番地」としており、今回の放送エリア拡大で、地域セーフティーネットとして役割の強化を目指している。災害の情報発信だけでなく、コロナ禍初期には「緊急特番ヒキコモリンピック」を放送し、自宅での過ごし方、地域のテークアウト店など紹介し、視聴者を楽しませた。

 新電波塔設置は、視聴者からの「コロナで大変な時だからこそ放送エリアを拡大してほしい」との声が後押しとなったという。新城社長は「言葉が見つからないぐらい感謝の気持ちでいっぱいだ。新電波塔はみんなで建てた。これからも皆さんと一緒に番組づくりをしていきたい」と語った。 (長嶺晃太朗)