【深掘り】西銘氏の退任で県知事選への影響も? 第2次岸田改造内閣が発足


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第2次岸田改造内閣が発足し、記者会見する岸田首相=10日午後6時2分、首相官邸

 第2次岸田文雄改造内閣では、沖縄担当相には初入閣の岡田直樹氏、防衛相には麻生太郎政権で防衛相を務めた浜田靖一氏が再登板することになった。沖縄の日本復帰50年の節目を前に、県出身・関係議員としては5人目となる沖縄担当相に登用された西銘恒三郎氏は1年足らずでの退任となった。9月には与野党ともに「県内最大の政治決戦」と位置づける県知事選を控え、沖縄への影響が懸念される米中対立は緊迫の度を増している。新政権は沖縄政策でも難しいかじ取りを迫られることになる。

 「やり残したことはない」。退任が決まった西銘氏は10日の閣議後会見で、こう断言した。

 肝いり政策

 復帰50年の節目を前にした2021年10月、西銘氏は初入閣を果たした。沖縄振興特別措置法など沖縄関係法の改正を手掛けた点などを成果として強調した。

 内閣府特命担当大臣に位置づけられる「沖縄担当相」のポストは「通例で1年程度で交代する」(政府関係者)とされ、通算約11カ月での交代は「既定路線」(同)との見方が大勢を占める。

 西銘氏の発言は、こうした点も踏まえてのものとみられるが、西銘氏は6月、岸田政権が掲げる「強い沖縄経済」の実現に向けた独自の経済政策「西銘ビジョン」を発表していた。

 「観光・リゾート」「農林水産業」「IT関連産業」「科学技術・産学連携」の4分野を重点戦略とする方向性を示し、地元企業の視察や専門家へのヒアリングを重ねていた。岡田氏も継承する考えを示したが、肝いり政策の実現は不透明だ。

 未知数

 政権与党が県政奪還を目指して取り組む県知事選を前に、県出身の沖縄担当相の交代を残念がる声もある。現県政にはない国との「パイプ」を強調する上で「県出身議員が大臣ポストに座っているのは好材料だった」(別の政府関係者)との声も漏れた。

 新任の岡田氏は沖縄との縁が薄く、地元の意向が政策にどこまで反映されるかも未知数だ。大臣交代が選挙戦に与える影響も注目される。

 一方、米軍基地が集中する沖縄への影響が強い防衛政策。ペロシ米下院議長の訪台に伴い米中対立が激化する中での大臣交代となった。健康問題が指摘されていた岸信夫防衛相の退任を予想する声は多かったが、課題が山積する中で選ばれたのは経験者の浜田氏だった。

 ただ、改造内閣では普天間飛行場の移設問題について「辺野古移設が唯一」との姿勢を堅持してきた歴代政権に仕えた岸氏を安全保障担当の首相補佐官に起用している。従来の防衛政策を維持するとみられ、県政与党の「オール沖縄」の幹部は「経済対策も防衛政策も基本的な国の施策が変わるわけではない。沖縄への影響は限定的だ」との見方を示した。
 (安里洋輔、梅田正覚)