元学徒が築いた「平和のとりで」拠点に、バトン次世代へつなぐ ひめゆり資料館に沖縄平和賞


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ロビーに掲げられた集合写真について説明する学芸課長の古賀徳子さん=12日、糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館

 公益財団法人沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団が運営する「ひめゆり平和祈念資料館」が12日、沖縄平和賞に選出された。普天間朝佳館長と古賀徳子学芸課長がオンラインで琉球新報の取材に応えた。「元ひめゆり学徒と戦争を体験していない職員が、戦争体験の継承に取り組んできた。受け取った平和のバトンを次世代に引き継ぎ、戦争の愚かさと平和の尊さを世界に発信していきたい」と決意を込めた。

 【一報こちら】ひめゆり資料館に沖縄平和賞 「平和の拠点 世界に発信」

 同館では開館以降、元ひめゆり学徒隊の生存者が「証言員」として戦争体験を語り続けてきた。生存者の高齢化を見据えて2002年には「次世代プロジェクト」を立ち上げ、証言員の活動を継承する人材の育成に取り組んできた。今回の受賞を受け、元学徒から「みんなが頑張って活動を継いでくれたことが認められてうれしい」とメッセージが届いたという。

普天間朝佳館長(提供)

 普天間館長は「沖縄戦をどう伝えていこうかと元学徒と非戦争体験者の職員が共に考えた歳月がある。継承活動も含めて評価いただいたことがうれしい。元学徒が築いた平和のとりでを守り、平和のバトンを次世代に引き継ぐことが私たちの役割だ」と強調した。

 資料館の理念を世界に発信しようと、2017年に「ひめゆり平和研究所」を設立。普天間館長は「軍事で平和はもたらされないことを沖縄戦は示した。ひめゆりを通して沖縄戦の普遍的な教訓を伝える資料館の役割は、ますます重要になると思う」と述べた。

 古賀学芸課長も「元学徒の一人が『世界平和を目指している』と言っていた。意志を継ぎ、世界平和を築くために海外にも発信していきたい」と抱負を語った。
 (赤嶺玲子)


【受賞理由全文】沖縄平和賞「普遍的な平和思想の象徴」 ひめゆり平和祈念資料館