10月23日投開票の那覇市長選に向け、市政野党である自民の候補者選考委幹事会で知念覚副市長ら4人の候補者が挙がった。知念氏は市政与党の「オール沖縄」勢力も有力候補の1人と位置付けてきたが、もう1人の有力候補である翁長雄治県議擁立への動きが加速する可能性がある。
自民側は、知念氏を含め4氏から「(自民の選考で)選ばれたら立候補する」との意向を確認していると明らかにした。オール沖縄関係者は驚きを隠さない。「自民が担ぎ出す人をこちらが擁立するのは難しい」
待望論が高まる雄治氏だが、自身は立候補に消極的だとされる。雄治氏は翁長雄志前知事の次男で、後援会には父の代からの支持者が多くいる。一方、知念氏は雄志氏の那覇市長時代に市幹部として支えてきた。後援会内には知念氏を推す人もいるため、雄治氏は自身の出馬によって後援会が分裂することも懸念しているという。
別のオール沖縄関係者は「知念氏が自民から出るなら、雄治氏はオール沖縄から出馬する覚悟を決めるだろう」と語る。一方、自民内には「(雄治氏が出馬を固辞し)結果的にオール沖縄で知念氏への相乗り論が高まるのではないか」との見方もある。
知念氏も自民からの立候補に課題を抱える。知念氏が支える現職の城間幹子市長は、知事選でオール沖縄が支援する現職の玉城デニー氏の選挙母体会長を務めている。知念氏にとっては、相手陣営に城間氏がいる中で、自民が擁立する知事選候補の佐喜真淳氏とセットで市長選を戦うのはハードルが高い。そのため、知念氏の擁立を目指す関係者の中では知事選との切り離しを模索する動きもある。
城間市長は10日の定例会見で、佐喜真氏と連携する市長選候補者を応援する可能性を問われ「発言する段階にない」と表情を曇らせた。
(伊佐尚記まとめ)