人口減で住宅過多も 世帯数がは35年にピーク りゅうぎん総研の民間借家調査


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 りゅうぎん総合研究所は15日、住宅着工の動向と民間貸家に関する調査リポートを発表した。県内で民間借家に居住する世帯数は2020年の26万8千世帯から35年には29万9千世帯でピークを迎え、その後緩やかに減少して50年には28万2千世帯程度となる見通しを示した。過去の住宅着工数を分析すると低水準時でも貸家は年間5千戸が供給されていることから、将来的に需要が減退に向かう中、これまでのペースで住宅が供給されれば需給バランスが崩れ、空き家が増加する恐れがあると指摘した。

 りゅうぎん総合研究所は、県内が日本復帰して以降の住宅着工の推移を八つの時期に区分し、時代背景や経済指標と絡めて分析した。その結果、世帯数や貸出金利、地価、県内景況が住宅着工数を左右する主な要因になっていると導いた。

 中でも世帯数は住宅需要の下支え要因となっているが、今後は県内の人口、総世帯数とも減少局面に入ると予想する。同研究所がまとめた県内総世帯数の将来推計は、2020年の61万3千世帯から増加を続けて35年に66万7千世帯程度でピークとなり、その後は50年には62万9千世帯程度まで減少していく見通しとなった。

 これらを踏まえて推計すると、民間借家の居住世帯で最も多い「単独世帯」は20年の13万1千世帯から35年には16万4千世帯まで増加し、50年には15万6千世帯程度となる。

 次いで世帯数が多い「夫婦と子どもで構成する世帯」は20年に6万5千世帯だったが、同年をピークに減少に転じ、50年には5万1千世帯程度となる見込みだ。

 また、都市部では民間借家の割合が総じて高い一方で、本島北部地域や離島地域では持ち家の割合が高いといった特徴も見られた。

 りゅうぎん総合研究所の金城毅上席研究員は「新設の住宅着工数が減少しても、それを上回るスピードで世帯数の減少が見込まれる。既存住宅の除却や住宅用途以外への有効活用が進まなければ空き家率も上昇する」と指摘。人口減少時代にふさわしい住宅政策の検討が必要だと述べた。

 (当銘千絵)