食費を切り詰め、子どもたちに我慢も…物価高、ひとり親を直撃 子ども食堂の利用も増


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物価高の影響を話す読谷村在住の40代の女性=同村

 原材料費や物流コストの上昇から、食品やガソリンの値上げが続いている。特にコロナ禍で厳しい状況にある一人親世帯に、物価高が追い打ちをかけている。沖縄県内で4人の子どもを持つひとり親からは「物価高がいつ終わるのか先が見えず経済的にも精神的にもきつい」との声も。子ども食堂のニーズも高まっている。

 読谷村在住で9~17歳の4人の子どもを持つ40代のシングルマザーの女性は、物価高の影響で月の出費が2万~3万円増えた。パートで働いていたが退職し、正社員になることを目指し資格取得の勉強中だ。児童扶養手当や児童手当などの収入でやりくりするものの、親からお金を借りざるを得ないことが増えた。

 節約のために価格の安い食材を購入し食費を切り詰めている。食材の足しにしようと、自宅庭でフーチバーやネギの栽培も始めた。一番安い牛乳を買い、大根やキャベツなど値上がりした野菜は買うのを控える。食事はおかずの量を減らし、ごはんを多めにしている。女性は「子どもが成長期なのでお肉や野菜を食べさせたいが、家計が厳しい」とため息をつく。

子ども食堂「レッツクッキング」の池原千佳子さんに不安な気持ちを訴える利用者からのショートメッセージ(画像の一部を加工しています)

 子どもたちに我慢を強いることも増えた。子どもたちとのドライブはガソリン代がかかるのでやめた。子どもたちが外出する際は、水筒を持たせて飲み物代を節約する。

 我慢させている影響からか子どものけんかが増えたという。「考え方を変え、『今日も子どもたちが元気に過ごせた』『今日も食べ物がある』と前向きに暮らすようにしている」と自分に言い聞かせるように語る。

 浦添市宮城の同市立宮城ヶ原児童センターの子ども食堂「レッツクッキング」では4月以降、母子世帯や、多子世帯の子どもと保護者の利用が増えた。主な利用者は仲西小の児童らだが、日によっては校区外の利用者が6割を占めることもあるという。

 市内在住の児童や保護者を対象に週2回無料の弁当を配布し、4月頃までは1日平均15食だったが、現在は申し込みが増え、準備できる最大の量の30食を配布している。しかしそれ以上に申し込みがあるという。

 「夫が失業した」「子どもが学校でよく濃厚接触者になる。その間家にいないといけない。働けず収入が減った」など悩みを切々と話す人も多い。保護者が集まると「あのスーパーが安い」と情報交換する姿が以前は見られた。今は「どのスーパーも値上げしてる」と嘆く声が聞こえる。同センターの池原千佳子館長は「支援を必要としている人が増えている。遠慮しないで頼ってほしい」と呼びかけた。
 (狩俣悠喜)