【識者談話】オスプレイの「虚像」明らかに 運用続ける意味考えて 佐藤学氏(沖縄国際大学教授)


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 技術的な判断や評価はできないが、政治的な問題になった機種で、2010年に判明していた不具合を現時点まで公表していなかった。高い事故率も示されたオスプレイについて、沖縄側がこれまで訴えてきた危険性が「むやみやたらに主張した」ものでなかったことを示した。日米の信頼関係にも影響するだろう。

 米軍のオスプレイは日本が期待するような実戦で飛べる機体ではない。台湾有事で海兵隊が出動し、米国人救出に向かうわけでもない。新たな局面で海兵隊が活躍し、オスプレイの必要性が宣伝される構図が続くが、細かに否定していく必要がある。

 オスプレイの「虚像」が明らかになってきた中で、空軍が運用を止めた機体を海兵隊が運用し続ける意味を今一度考えるべきだ。

 一方で、沖縄への配備から10年がたち、飛行が(県民意識の中で)日常化した感はある。オスプレイ運用の既成事実化を踏み台に、新たなことが起きる恐れがある。今一度、オスプレイに対する緊張感を取り戻すべきだ。

(政治学)