ハワイに記された「対馬丸」 米ボーフィン潜水艦博物館に説明板 退役軍人が働きかけ


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USSボーフィン潜水艦博物館に設置されている対馬丸に関する説明パネル(ダグラス・ラミスさん提供)

 米ハワイ州のUSSボーフィン潜水艦博物館に2021年8月から、対馬丸に関する説明パネルが設置されている。ボーフィン号は1944年8月22日、鹿児島県の悪石島沖で対馬丸に魚雷攻撃をした船で、パネルは同博物館で対馬丸に関する唯一の展示だという。

 ハワイ在住で退役海軍中佐のアン・ライトさんが対馬丸事件のことを知り、同博物館に説明文がなかったことから、パネル設置を求めて動いたことがきっかけとなった。

 ライトさんが、国際平和団体の「平和を求める元軍人の会―琉球沖縄・国際支部(VFP―ROCK)」のダグラス・ラミスさんを通して対馬丸記念館と連絡を取り、実現した。

 展示文には、疎開船として民間人約1600人が乗船し、そのうち800人は子どもや学生だったことを説明している。また日本軍からのかん口令で、生存者が対馬丸事件のことを口にしなかったため、米軍や米国民がこの悲劇を知ったのは戦後何年もたった後であると記載している。

 ラミスさんは「小さい展示だが、視点を変える作業がとても大切だ」と話した。

(中村優希)