女性自身でできる望まぬ妊娠予防に国が助成 リングキャンペーン事業のおきなわ子ども未来ネットが補助上限を4万円に引き上げ


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おきなわ子ども未来ネットワークの(左から)山上友美さん、山内優子代表理事、奥間悦子さん=7月、読谷村

 一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」(山内優子代表理事)が実施する、避妊を必要とする女性たちに子宮内避妊器具(リング)装着費用を助成する「リングキャンペーン」が、7月から内閣府の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」の「女性の避妊に係る相談支援事業」の対象になり、助成を受けられることが決まった。問い合わせは同法人(電話)098(989)7301。

 同キャンペーンは妊娠する可能性が高いが経済的に困窮し、子どもを育てられない女性などにリング装着費用を助成し、望まない妊娠を避けることが目的。2020年から実施し、21年度は36人がリングを装着した。

 リングは子宮内に入れ、子宮内の環境を変えるなどして受精卵の着床を防ぎ妊娠を予防する。一度装着すると数年間、継続できる。これまで同法人では寄付やクラウドファンディングなどで費用を賄っていた。今回、助成が決まったことで補助上限が3万5千円から4万円まで引き上げられるようになり、安定的な事業継続が可能になった。

 キャンペーンの背景には、新型コロナウイルスの影響で経済状況が悪化した女性たちから「中絶費用が工面できない」という問い合わせが増え、望まない妊娠・出産を防ぐための手だてを早急に講じる必要性が生じたことがある。

 同法人は女性自身で避妊できるリング代を支援しようと事業を開始。反響は大きく、開始直後から地域の女性たちの現状を知る市町村の保健師や福祉関係者などから問い合わせが相次いだ。

 支援を受けた女性たちの中には、パートナーが避妊に非協力的でこれ以上産むと経済的に厳しくなり生活が立ちゆかなくなる人や、リングを入れたいが費用を工面できない人がいた。また10代で第1子を出産し経済的に困窮していることから、これ以上妊娠を繰り返さないよう医師からリングを勧められた人もいた。

 実際にリングを入れた女性たちからは「これで中絶をしないで済む」といった声が上がった。すでに出産を終えた、年配の女性たちからは「自分たちの時代にもこれが欲しかった」「すばらしい取り組みだ」と、賛同する声が多く寄せられているという。

 山内代表は「リングを付けることで避妊を男性だけに頼らなくて済み、女性自身が自分の体を守ることができる。必要としている人は安心して利用してほしい」と呼び掛けた。
 (嶋岡すみれ)

<職員募集 有資格者若干名>

 「おきなわ子ども未来ネットワーク」は職員を若干名募集している。要件は社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者。同法人は2018年に設立。「若年にんしんSOS沖縄」や養子縁組の斡旋(あっせん)事業、居住先のない妊産婦のための宿泊型の居場所「まりやハウス風のいえ」事業などを展開し、主に若年の妊娠や出産に悩む女性たちを支援している。問い合わせはメールokinawamirai@snow.ocn.ne.jp

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