政府は24日、新型コロナウイルス対策に関する水際対策の緩和を表明した。9月7日から、ワクチン3回目接種完了の証明があれば、これまで入国時に求めてきた現地出国72時間以内での検査の陰性証明が免除される。現行では2万人としている1日当たりの入国者数の上限引き上げも検討することを明らかにした。コロナ感染拡大で蒸発したインバウンド(訪日外国人客)の需要回復へ、県内の観光事業者など関係者は歓迎の声を上げた。復興の推進へ、個人客の解禁などさらなる緩和を求める声も相次いだ。
「非常に良いニュースだ。円安も進んでいるので、多くの旅行者を呼び込む好機にしたい」。ロワジールホテル那覇の武田寛枝総支配人は政府方針を歓迎した。実現はしなかったが、韓国の旅行業者から宿泊の問い合わせが寄せられており、需要回復の兆しを実感している。一方、現状ではインバウンドはパッケージツアーに限定されており「個人旅行の制限が来県の障壁となっている。緩和は個人旅行解禁とセットで推進してほしい」と要望した。
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長も、「一部でも水際措置が緩和されたことは前進だ」と評価する。ただ、コロナ禍以前のインバウンドは個人客が多く、「観光客誘致という点からはまだ規制が強い」と指摘。現在の団体客のみでは集客が難しく「個人旅行を認めてもらわないと外国人観光客は興味を示さない」と述べ、個人客向けにビザを免除する必要性を訴えた。
県バス協会の小川吾吉会長は「少しずつの緩和でも、経済活動の再開につながる」と話す。国内客の個人旅行需要は回復傾向にあるものの、団体客は依然として限定的だ。特に貸し切りバスが低迷し、収入はコロナ前と比較して8割減と厳しい状況に置かれているという。「レンタカー不足も叫ばれている。これを機にバスを活用した旅の提案をより一層強化したい」と前を見据えた。
(小波津智也、當銘千絵、與那覇智早)