沖縄の課題に挑むリーダーを決める県知事選が25日に告示された。基地問題や子育て支援、新型コロナ対策などが争点となっているが、有権者は候補者に何を求めているのか。
知事選のたびに争点になる米軍普天間飛行場の辺野古移設問題。告示日の朝、名護市辺野古では基地建設に反対する約25人が座り込みなどに参加した。ある参加者(70)=名護市=は「米軍基地が沖縄の経済発展をじゃましている」と指摘。「自然環境を守り、基地建設を止めてくれる人が知事になってほしい」と訴えた。
一方、反対の声は上がるも基地建設は進んでいる。地元の辺野古区は条件付き容認の立場で、これまで国に個別補償などを要請してきた。同区で生まれ育った男性(63)=名護市=は「危険な基地を受け入れるならその分の補償を求めるのは当然だ」と話す。「国とけんかするだけでは何も得られない。しっかりと予算を持ってこられる人が知事にふさわしい」と語った。
沖縄市の県総合運動公園では親子連れがゆったり過ごしていた。子どもと遊びに来た自衛隊員の男性(36)=浦添市=は「基地問題に偏らず、バランスのいい政治をする人に投票したい」と話す。4~9歳の子ども3人を育てており、「子ども医療費の無料化は助かった。給食費も無料化してもらえたらうれしい」と子育て支援の拡充を求める。自身の勤務先である自衛隊の配備拡大計画については「う~ん」と県民感情に配慮しつつ、「今の国際情勢を考えると配備せざるを得ないと思う。自衛隊の動向を他国は見ている」と語った。
那覇市の国際通りは、観光客が戻り始めているが空き店舗も多い。近所に住む男性(74)=那覇市=は「観光客は来てほしいがコロナが流行したら大変。難しいね」とつぶやく。施設に入所する90代の母とは面会禁止が続く。「早く普通の生活に戻りたい。どんなしたら防げるかね」と話し、新型コロナ対策に真剣に取り組むリーダーを求めた。
(長嶺晃太朗、赤嶺玲子、黒田華)