【石垣】「世界蚊の日」の20日、沖縄県石垣市桃里の伊野田農村公園で、八重山ゼロマラリア達成の碑の建立記念式が開かれた。式典では同時に、八重山のマラリアの歴史などを記した説明板も披露された。今年は、八重山からマラリアが一掃された1962年から60年の節目にあたり、出席した関係者らは感染症のない平和な世を願った。
説明板によると、八重山地方では400年以上の長きにわたり、マラリアに苦しんできた歴史がある。戦後の1950年には、マラリアがまん延する伊野田地区で、住民による「マラリア撲滅伊野田出張所」が開かれ、治療や対策、教育普及が行われるなど、マラリア対策の拠点となった。
20日の式典では、碑建立期成会の仲原清正会長が「マラリアのない健康で安心、安全、平和な世を願う場、機会になることを願う」とあいさつした。
碑と同時に公開となった説明板は、八重山のマラリアの伝承などに取り組む「Team Yaeyama Zero Malaria」(チーム八重山ゼロマラリア)が寄付を募るなどして設置した。
チームの代表で、琉球大大学院医学研究科の斉藤美加助教は「八重山は世界に先駆けゼロマラリアを達成した。伊野田出張所は住民の手作りのものであり、伊野田から世界に向けて伝えるべき教訓はたくさんある。ここが石碑にふさわしい、誇れる場所だ」と述べた。
伊野田公民館の玉城政時館長(73)は「これからこの碑を見に来る人が増えるだろうが、どのようにしてマラリアを根絶したのか知ってほしい」と話した。
(西銘研志郎)