米軍基地問題、3候補の対応、主張は?<22年沖縄知事選・政策点検>1


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米軍普天間飛行場(資料写真)

 第14回県知事選は8月25日に告示され、9月11日投開票に向けて本格的な選挙戦へ突入した。争点は米軍普天間飛行場の移設問題や子ども政策、経済回復の手法など多岐にわたる。琉球新報が立候補者に実施したアンケートや討論会の内容などを基に、前衆院議員の下地幹郎氏(61)、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、現職の玉城デニー氏(62)の3候補の主張をまとめ、政策の相違を点検する。 (’22知事選取材班)

 県政の最重要課題である米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡っては三者三様の主張が明確となっている。

 下地氏は「軟弱地盤は埋め立てさせない」と掲げる。訓練を鹿児島県の馬毛島に移すことで、普天間所属のオスプレイなどは既に埋め立てられた区域に収め、普天間周辺の危険性を除去する政策だ。跡地は軍民共用の国際空港にすると訴える。

 佐喜真氏は「原点は普天間の危険性除去だ」と強調し、政府が進める辺野古移設を容認する立場を取っている。普天間飛行場の返還を2030年までに実現することを掲げ、早期返還の実現へあらゆる方策を政府と協議すると説明している。

 玉城氏は、政府が進める移設計画では新たな機能が加わるとし「辺野古新基地建設反対を貫く」と公約している。建設に12年以上掛かる辺野古新基地では普天間飛行場の早期の危険除去につながらないとし、県外・国外移設を求める立場だ。

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市側への移設については、琉球新報社などが開催した討論会で3氏全員が「実施すべき」と答えた。下地氏は「着手可能なものから現実的に対処する」、佐喜真氏は「現県政のように逃げず着実に実施する」、玉城氏は「新機能を加えず、環境配慮を求める」と主張する。

 日米地位協定については政策アンケートで、下地氏と玉城氏が抜本的な改定が必要と回答した。

 下地氏は「日米が対等なパートナーシップを結んでいる姿を明示すべき」だと主張する。玉城氏は「米軍基地に起因する事件、事故や環境問題などの解決を図る」と説明している。佐喜真氏は日米合同委員会に県の意見を反映させ「改定や運用見直しへの突破口となる」とした。

 南西諸島への自衛隊配備に関しては明確に反対する候補はおらず、配備を進めることに対する慎重さに差異がある。

 下地氏は防衛の重要性を強調した上で「地域住民と議論を深めることが必要だ」と主張する。

 佐喜真氏は安全保障環境を踏まえ「自衛隊配備による抑止力を機能させるべき」と述べている。

 玉城氏は「住民合意のない強行配備は認められない」とし、住民の理解が重要だとしている。