沖縄振興、3候補の対応、主張は?<22年沖縄知事選・政策点検>3


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 沖縄の日本復帰50年にあたる今回の知事選では沖縄振興特別措置法や、県が使途を決められる一括交付金など現行の沖縄振興策の是非に加え、国への予算計上を内閣府が一本化する「一括計上方式」の在り方も争点となっている。人材育成策でも前衆議院議員の下地幹郎氏(61)、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、現職の玉城デニー氏(62)の三者で違いが出ている。

 「国と決別」を掲げる下地氏は振興制度も見直しを強調する。沖振法に基づく特別措置は今年から10年間の第6次沖縄振興計画での終了を主張。「国に頼らず、県が予算折衝し、政策を実行することが重要」と訴える。一括交付金は自民党政権下での国による差配などを挙げ「創設目的通りの活用がなされていない」と指摘した。一括計上方式は見直しを求め、他県同様の各省庁との予算折衝への移行を求める。

 3500億円の沖縄関係予算の確保を掲げている佐喜真氏は現行の沖縄振興策について、項目によって評価が分かれる。一括計上方式は「沖縄振興を一体的に進め、全体を把握し、進み具合を調整するためにも有用」と継続を求める。沖振法に基づく振興の方向性については「全国並みの予算・制度への移行も視野に入れるべき」とし「6次振計の成果をみながら判断すべき」と継続の是非は明言を避けた。

 今年5月、6次振計「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」でSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れるなどした玉城氏は、沖縄振興も現行制度の維持を求める。一括交付金は「『不利性』解消、振興推進で有効に機能した」と評価し「『不利性』の解消は不十分」として継続を求める。一括計上方式も「ビジョン計画の各種施策を総合的・計画的に推進するための制度」として必要性を強調した。

 教育や人材育成策で、下地氏は教育費の完全無償化、新産業・新技術にチャレンジできる高等教育機関創設も掲げる。佐喜真氏は世界的な名門大誘致でのスタートアップ人材増や教育費無償化などを掲げる。玉城氏は少人数学級や高大連携の推進、県外大学進学への支援などを主張する。

(’22知事選取材班)