沖縄への心持っていた ゴルバチョフ氏を悼む 稲嶺恵一・元沖縄県知事


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稲嶺知事(当時=右)と握手するゴルバチョフ元大統領=2005年5月14日午後、沖縄ハーバービューホテル

 ゴルバチョフ氏が死去したことを知りショックだ。自分の国だけでなく世界的な視野で物事を見ていた方だけに、惜しい人物を亡くした。

 ロシアではソ連を崩壊に導いた人物として評価は低いが、冷戦を止めたことと、ソ連という束縛された社会を解放したことの両面で彼の功績は大きい。平和で秩序を保った社会や民衆の国を目指す思いが強く、世界平和が常に頭にあった。

 沖縄で対談した際には自分のやり方がロシアだけでなく地球全体を考えた時に正しいものだという信念を言葉の端々から感じた。その中で特に「平和が大事だ」という言葉は印象に残っている。一方で誰とでも仲良く話をするなど気さくな面もあり、多くの人の心をつかむものを持っていると感じた。

 平和の時代にしたいという思いから、沖縄戦を経験し、平和への思いを持つ沖縄に対しては非常に関心を持っていた。(平和推進などに取り組む)ゴルバチョフ財団の日本本部を那覇市に設置するなど、沖縄への心を持っていた。

 ロシアが普通の国となり、世界の平和が保たれ、さらに一般民衆が幸せに暮らす世界を理想としていたが、それがいま崩れつつある。悲しい思いを抱えたまま亡くなったのではないか。
 (元県知事、談)