性の多様性条例に反対を主張 旧統一教会の集会に宜野湾市議ら出席


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 県内の市議会で提案される「性の多様性尊重条例」の制定に対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が反対の立場で議員と接点を持っていた実態が琉球新報の取材で分かった。宜野湾市議会では2020年に関連する条例案がいったん否決されているが、その前年の19年に同教団が関与する講演会が市内で開かれ、出席した市議が条例制定に反対を明言していた。浦添市では、教団関係者が参加する市民団体が条例制定に慎重な対応を求める要望書を提出していた。

 県内の教団関連団体の幹部が実行委員長として主催した「希望の家庭講演会」が19年に宜野湾市の長田公民館で開催され、宜野湾市議4人が出席した。教団関連団体の元幹部が講師を務め、同性婚の制度化や自治体のパートナーシップ制度について「家庭と社会を破壊する」「悪魔の戦略」などと主張した。

 その講演の後に登壇した市議会の上地安之議長は、性の多様性について「公的機関が条例を作って認めるのは、未来の日本国にとってあまりにも情けない」と発言している。市議のほか宮崎政久衆院議員や又吉清義県議も一部、参加した。

 市議会は講演会が開かれた翌年に、市が提案した「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を否決。保守系の与党市議が表題の「多様性」や文中の「性的指向」という表現などに懸念を示し、反対した。その後、これらの文言を削るなど後退した形での条例制定となった。

 上地議長は講演会での発言について「多様性は尊重するが、法律にまで持っていくのはいかがかという趣旨だ」と説明し「教団の考えが市の条例に影響したことは、当然ない」と否定。その上で「今後は団体の確認など慎重に対応したい」と話した。

 講演会は市長田に住む信者が「ミニライブ」として公民館利用を申請していた。講演会では、浦添市で条例案に慎重な対応を求める活動をしていた市民団体のチラシも配られ、教団関係者が「反対のための活動を応援する」と語っていた。 (明真南斗)