ハンセン病元患者の支援体制確立へ 沖縄県、5日に協議会初会合 「安心して暮らせる社会を」差別や偏見の解消目指す 


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 ハンセン病元患者と家族らが円滑な社会生活実現に向けて県に設置を求めていた「県ハンセン病問題解決推進協議会」について、県が第1回協議会を5日に県庁で開催する。差別、偏見の解消や高齢化が進む元患者らを医療、福祉の両面で支援する体制確立に向けて当事者や支援者、専門家、行政が一丸となって取り組む。

 関係者によると、推進協議会は「沖縄ハンセン病回復者の会」や県内の2療養所(沖縄愛楽園、宮古南静園)自治会、家族ら当事者に加えて支援団体や専門家、学識者など15団体の代表者が委員を務め、オブザーバーとして厚労省や法務省の担当者も参加する。

 第1回は協議会会長選出と各団体の取り組みの現状と課題報告を踏まえて、ハンセン病問題啓発と回復者らの福祉増進などについて議論する。

 回復者の会の神谷正和事務局長は「協議会設置に4年かかった。高齢化が進む私たちに残された時間は少ない。安心して暮らせる社会を一刻も早く実現したい」と語った。

 患者らの強制隔離などを定めた「らい予防法」の廃止(1996年)、隔離を違憲とした熊本地裁判決(2001年)と国が過ちを謝罪し、補償を約束して20年超がたった今も社会には差別と偏見が根強く残る。高齢化が進む中で後遺症治療やさまざま病気など健康への不安を抱えても、差別や偏見を恐れて病歴を明かせず、適切な治療を受けないまま症状を悪化させたり、介護など行政福祉とつながれなかったりするなど新たな問題が生まれている。
 (佐野真慈)