沖縄知事選、各選挙区ごとの情勢は? 無党派層への浸透やセット戦術も鍵に<沖縄知事選・電話調査>


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 11日投開票の県知事選挙は終盤戦に入り、いずれも無所属、新人で前衆院議員の下地幹郎氏(61)、新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦、現職の玉城デニー氏(62)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=の3氏が激しい選挙戦を展開している。琉球新報社と共同通信社は電話調査を実施し、投票先の予定や支持政党、重視する政策を聞き、情勢を探った。 (’22知事選取材班)

■1区=那覇・南部離島

下地氏 一定浸透
佐喜真氏 詰める
玉城氏 一歩先行

 那覇市が有権者の95%超を占める沖縄1区(8市町村)では玉城氏が一歩抜け出すものの、他の地区と比較して佐喜真氏が迫っている。衆院選で1区からの出馬を重ねてきた下地氏も一定の浸透がみられる。1968年の主席公選以来、知事選では大票田・那覇での最多得票者が当選しており、各候補とも終盤に掛けて那覇での運動を増やす見通しだ。

 那覇市では無党派層が多いとされる。今回の調査でも約1割が投票先を決めていないと回答しており、情勢は流動的だ。

 玉城氏、佐喜真氏は知事選と同日投開票の県議補選や、10月23日投開票の那覇市長選に出馬する支援候補とのセット戦術で、票の掘り起こしを狙う。下地氏は衆院議員時代に築いた地盤固めとともに、無党派層への浸透を図る戦略を描く。

 

■2区=宜野湾、浦添など 

セット戦術 鍵に

 本島中部や浦添市を含む沖縄2区(8市町村)では玉城氏が堅調に選挙戦を進め、佐喜真氏が追う展開だ。下地氏は伸び悩んでいる。

 2区は米軍基地が集中し「革新地盤」と指摘される。これまでの知事選でも革新勢力やその流れをくむ「オール沖縄」勢力の候補が強さを見せており、今回も同様の傾向をうかがわせる。

 2018年の前回知事選では、8市町村のうち宜野湾市を除く7市町村で玉城氏の得票が最多だった。宜野湾市では前市長の佐喜真氏が玉城氏を上回った。2区では今回宜野湾市長選に加え、6市町村で議員選挙が同日投開票となる。セット戦術の効果も支持浸透に不可欠となりそうだ。

 

■3区=名護・沖縄・うるまなど 

一部投票先未定も

 名護市や沖縄市、うるま市など中北部にまたがる沖縄3区(14市町村)では玉城氏が先行し、佐喜真氏が激しく追う。下地氏は支持に広がりを欠いている。投票先を決めていない回答者も一部いた。

 政府が米軍普天間飛行場の移設先として埋め立て工事を続ける名護市辺野古も3区に含まれる。

 玉城氏にとって3区は出身地のうるま市があり、衆院議員として4期選出された実績のある地盤。

 一方、佐喜真氏は、人口の多い名護市や沖縄市、うるま市などの首長から支援を受け、追い上げを狙う。下地氏は政策を浸透させ、無党派層や浮動票を取り込むために活動量を上げている。

 

■4区=南部・宮古島・石垣など 

宮古で激しく競る

 本島南部や八重山、宮古両地域を含む沖縄4区(11市町村)は玉城氏がリードし、佐喜真氏が追っている。下地氏は後れをとっている。ただ、4区のうち先島諸島はやや情勢が異なり、宮古島市では3人が激しく競り合う傾向が浮かび上がっている。

 近年の知事選では、宮古島、石垣両市を含む先島諸島は保守系候補の得票が多い。

 玉城氏は特に両市での支持浸透が課題で、佐喜真氏はどれだけ得票を伸ばせるかが焦点となる。下地氏は前回出馬した2014年の知事選で、出身地の宮古島市での得票が4候補のうち最多だった。今回も支持を広げている。

 


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