首里城正殿の大龍柱「正面向きは歴史上明らか」 研究者ら、正面向きでの再建求める


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首里城正殿の大龍柱を正面向きで復元するよう求める「大龍柱を考える会」のメンバーら=5日、那覇市の県庁

 火災で焼失した首里城正殿の再建が11月に着工されるのを前に、研究者らでつくる首里城正殿大龍柱を考える会(大田朝章代表)などは5日、県庁で記者会見し、大龍柱を正面向きで復元するよう求めた。1877年に撮影された写真で、大龍柱が相対(向かい合わせ)ではなく正面を向いていることを挙げ「正面向きなのは歴史上、明らかで動かし難い事実だ。民意に基づいて復元すべきだ」と訴えた。

 会見したのは首里城正殿大龍柱を考える会と首里城再興研究会、絵図から考える首里城の会の3団体。8月5日には県に要請文も提出した。(1)沖縄総合事務局に対し「大龍柱は正面向き」と主張する(2)同事務局と締結した3点の覚書を破棄する―などを求めた。9月9日に琉球新報、沖縄タイムスに意見広告を掲載する。

 研究者らは歴史的建造物の保存・修復に関する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の憲章を挙げ「推測による修復を行ってはならない。世界遺産の認定が取り消される危険性が大いにある」と指摘した。

 「首里城復元に向けた技術検討委員会」は1月、大龍柱を相対向きとする暫定的な結論を出している。
 (宮城隆尋)