トックリキワタがつなぐブラジルとの縁 持ち主高齢で管理困難、ゴルフ場が受け入れへ 名護


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長嶺一子さん(中央)からトックリキワタを引き取ることが決まったかねひで喜瀬カントリークラブの運天勇総支配人(左)と同クラブ植樹管理課シニアマネージャーの上原健さん=1日、名護市旭川

 【名護】名護市旭川の長嶺宗勇さん(70)と一子さん(59)が“里親”を捜していたブラジル産の樹高十数メートルのトックリキワタの引受先が決まった。金秀グループ(呉屋守将会長)が名護市喜瀬で運営する「かねひで喜瀬カントリークラブ」(運天勇総支配人)がウエルカムツリーとして同施設の入り口周辺に来春をめどに移植する。ブラジルと縁がある呉屋会長は「ブラジルと沖縄の懸け橋となる木を絶やしてはいけない」と語った。

 長嶺さんのトックリキワタは55年ほど前、長嶺さんのおじがブラジルから種を持ち帰って植え育てた。幹の周囲約4.6メートルまで成長した。横に伸びた枝ぶりは十数メートルあり、全体に花を付けて通行人を楽しませていた。高齢でせん定などの手入れが難しくなった長嶺さんが本紙を通じて引き受け先を捜していた。

 呉屋会長によると、呉屋さんの曽祖父はブラジルに移民し懸命に働いて財を作り、帰沖後、西原町で土地を購入して金秀の礎を築いた。長嶺さんがトックリキワタの引受先を捜していることを本紙の紙面で知り、喜瀬カントリークラブ植栽管理課の上原健さん(55)に「引き取れないか確認してくれ」と指示した。

 9月中にもいったん掘り起こして根を短くしてその場に植え直す「根回し」という方法でトックリキワタを管理し、運搬しやすい長さに枝をせん定して来年4月ごろに喜瀬カントリークラブに運ぶ予定。

 一子さんは「子どもと離れるようでさみしい気もするが、大企業の金秀さんに引き取ってもらうことが決まってほっとした。大切に育ててほしい」と話した。喜瀬カントリークラブ総支配人の運天勇さんは「これほど大きな木の移植は初めてだ。ブラジルの種を絶やさないよう大切に育みたい」と述べた。
 (松堂秀樹)