8月30日から9月4日にかけて沖縄地方に接近した台風11号の影響で魚介類が品薄となり、価格も高騰している。多くの漁船が台風対策で8月31日以降の出漁を自粛し水揚量が減少したため、沖縄県漁業協同組合連合会(県漁連)が運営する泊魚市場は9月1日と3日は休市した。市場は6日に再開したものの、水揚げは依然として限定的だ。「仕入れができず困る」「いつまで高値が続くのか」―。出漁できない漁師だけでなく、鮮魚店や飲食業関係者からもため息が漏れ聞こえる。
県漁連によると、6日の水揚量は休市前の8月31日と比較して81%減の5097キロにとどまり、品薄から全魚種の平均キロ単価は同9%増の662円となった。特にマグロ類は高値で取引された。担当者は「魚種を問わず水揚げ量が落ち込んだため、引き合いが強まり価格が上昇した」と説明する。
昼前、普段は昼食や買い物客でにぎわう泊漁港内の「泊いゆまち」だが、6日は休業する店も多く、客足はまばらだ。
鮮魚店「マルチ商店」の店頭には、今が旬のキハダやビンチョウなどのマグロ類が並んでいた。店主の知念芳直さんは「マグロは競り価格が通常の3倍で大変だが、店を閉めるわけにはいかないから」と複雑な心境を吐露する。客足が遠のくため、さしみパックなども値上げせず据え置き価格で販売する。
大衆居酒屋「アゲサワ」=那覇市=の小林広人店長は、食材調達のため市場を訪れたが「品物がほとんどなくて困った」と話す。仕入れが滞れば店のメニューにも影響が出るため「手に入る食材で何か考えるしかない」と述べた。
(当銘千絵)