沖縄知事選、三日攻防に突入 下地陣営「知名度てこに変革訴え」、佐喜真陣営「『実行力』強調し差別化」、玉城陣営「県政継続の必要性強調」


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(左から)街頭でスキンシップを図る下地幹郎氏=8日、那覇市安里(ジャン松元撮影)。街頭でスキンシップを図る佐喜真淳氏=8日、那覇市の久茂地交差点(ジャン松元撮影)。街頭でスキンシップを図る玉城デニー氏=8日、宜野湾市大山(大城直也撮影)

 11日投開票の県知事選は8日、選挙戦最終盤の「三日攻防」に突入した。立候補している、いずれも無所属の、新人で前衆院議員の下地幹郎氏(61)、新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦、現職の玉城デニー氏(62)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=はこの日も県内を駆け回った。

<下地陣営>知名度てこに変革訴え

 政党から推薦を受けず選挙戦に臨む下地幹郎氏は、埋没しないための「奇策」と、地道に有権者と触れ合う正攻法を組み合わせてきた。投開票日が近づくにつれて正攻法の割合が増し、最終盤は那覇市での支持拡大に注力する。衆院議員時代に地盤としてきた1区での知名度をてこに、大票田での支持拡大を狙う。

 独創的な戦術は、県外での遊説活動に代表される。米国での出馬表明後、県外へも飛んだ。告示後に大阪府でマイクを握った下地氏は「沖縄の問題を考えてもらうため」と説明するが、県人会関係者が多く参加しており、県内での支持を広げる効果も想定される。

 下地氏は政策の大胆さと実効性を自負しており、有権者らと話す際にも、可能な場合にはパンフレットを開いて内容を説明する。演説で強調する政策も場所に応じて変えるのが特徴だ。一方で共通するのは「新しい沖縄」「面白い知事」「変えよう」などの言葉で、変革を訴えている。

 インターネットでの発信も力を入れる。ライブ配信は新しい形の有権者との「接触」だ。終盤に入り、街頭演説で「検索して」と自身のユーチューブに誘導する発言も目立つ。他の2候補と見比べるよう呼び掛ける。

 下地氏は8日、那覇市内を自転車で移動し、泊交差点や県庁前で演説した。正午ごろには栄町市場を歩いて回った。
 (明真南斗)

<佐喜真陣営>「実行力」強調し差別化

 前回知事選の雪辱を誓う佐喜真淳氏は、告示日に沖縄本島南部から名護市へと北上し支持拡大を訴えた。三日攻防に突入した8日以降は大票田の那覇市での遊説に力を入れる方針だ。統一地方選候補者との連携も徹底し、県政奪取を狙う。

 街頭演説では「子ども特区」の導入による給食費や保育料の無償化、物価高対策といった生活支援に重点を置いてきた。

 加えて、選挙戦の後半に入って訴えを強めているのが「公約の実行力」だ。「公約達成率」を巡る現職候補批判を念頭に置く。8日に那覇市で行った演説では宜野湾市長としての経験を基に「必要な財源を熟知している」と強調。「言ったことはやる。行動を通して必ず実現する」と、他候補と差別化を図った。

 現場重視の姿勢も打ち出した。台風11号襲来直後の5日には石垣市と宮古島市を訪れ、被害状況などを聴取した。7日に再び宮古島を訪れ、集会に参加した。保守地盤で他候補の出身地でもある同市の票固めを進めた。

 各地の集会では自ら「まだ(現職候補に)追い付いていない状況だ」と切迫感を訴える場面もあり、最終盤に向け支持層の引き締めを図る。

 8日午前は那覇市首里地域を中心に遊説した。夕方からは市中心部で行われた「Vロード」と呼ばれる街宣活動に参加し、票の積み増しを目指して追い込みをかける。
 (知念征尚)

<玉城陣営>県政継続の必要性強調

 再選を目指す現職の玉城デニー氏は三日攻防に突入した8日夕、相手候補の地元でトリプル選の宜野湾市に入り、連携する市長候補・市議候補らと遊説した。普天間飛行場などの周辺で確認されている有機フッ素化合物(PFAS)汚染に言及し、基地立ち入り調査の実現などを訴え「基地司令官のゴーサインがないと調査できない。不平等な日米地位協定は改定すべきだ」と強調した。

 基地問題では辺野古新基地建設で知事選の3候補で立場が分かれている。反対を訴える玉城氏は「民意を政府に堂々と突きつけよう」と強調してきた。

 実績として子どもの貧困対策推進基金の積み増しや、中学までの医療費無償化などをPRしてきた。

 県の制度に対応して高校生までの医療費無償化を実現した北谷町の例を挙げ「県と市町村が予算を持ち合えばいろんなことができる」と強調。国政与党の推す候補に対抗するように、県と市町村との連携の必要性も打ち出した。

 序盤から図ってきた実績の浸透に加え、最終盤では「2期目で目指す沖縄像」の訴えにも力を入れる。連携する県議補選候補と臨んだ8日の街頭演説でも、離島県としての低炭素社会の実現などを「沖縄ならではの取り組み」と打ち出し「2期目の舵取りを任せてほしい」と県政継続の必要性を強調した。
 (塚崎昇平)