若者は選挙にどう向き合った?「一度は行ってみる経験大事」若い世代の活躍望む声 「政治を信頼していない」冷めた見方も


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 2018年の前回県知事選では10~20代の若者の投票率は5割を切り、他の年代に比べ低かった。「若者の政治離れ」が問題視される中、今回の知事選に若い有権者はどう向き合ったのか。高校生や大学生に政治との距離感や考えを聞いた。

 「10~20年後、僕らが活躍する時代に社会はどうなっているかイメージして各候補者の政策を見た」。そう話すのは学生起業家の大学生(20)=琉球大2年、うるま市。有機農家の収益拡大に取り組む会社「OrgaNect」の共同代表だ。

 高校時代に起業家になろうと決め、実現させた。起業家を育成するプログラムや情報の不足を感じ続けている。「行政は挑戦する若者への投資ができているのかなと思う。若者が挑戦しやすい環境をどうつくってくれるか注目している」と一定の期待を寄せる。

 政治との距離感を聞くと「10~20代は知事選に立候補できないから身近な候補者がいない。余計に遠い存在だ」と隔たりを感じている。「今の政治家にとって僕らの20年後って関係ないんじゃないかなと感じることもある。多様性を考えると若い政治家の存在が重要だと思う」と話し、近い世代が政治の場で活躍してくれることを望む。

 社会科教員を目指し琉球大教育学部で学ぶ学生(22)=那覇市=は、18歳から欠かさず投票しているが「友人で選挙に行くのは半分くらい。政治に文句は言うけど関心がない」と話す。一方、投票しない人の気持ちも分かるという。「投票で社会が変わったとか自分が参加して動かしたという感じがない」

 候補者の政策もスローガンは伝わるが、どう達成するのか見えにくく、財源や代替案をもっと分かりやすい形で提示してほしいと感じている。それでも「自分の思いを示す手段として選挙に一度は行ってみる経験が大事」と同世代に呼びかけた。

 琉球大で法律を学ぶ男子学生(21)=北谷町=は嘉手納基地近くに自宅があり戦闘機の騒音を毎日耳にしている。「米軍基地にいい印象がない。辺野古への新基地建設も反対」と話す。知事選では各候補の基地問題への姿勢に注目して投票した。

 選挙には必ず行くが、「政治を信頼していない」と行かない友人もいる。「政治家をじかに見るのって選挙の時だけ。普段は何をしているのかよく分からない。選挙がない時ももっと市民と会ったり、発信したりすると、信頼する人が増えるのでは」と語った。
 (赤嶺玲子、金盛文香)