玉城デニー氏の再選は、根強い辺野古新基地建設反対の民意を得票につなげたためだ。佐喜真淳氏は移設容認を明確にして対立軸が鮮明となったが、及ばなかった。下地幹郎氏は軟弱地盤埋め立ての中止を訴えたが、普天間飛行場の軍民共用化なども同時に掲げ、玉城氏からの建設反対票流出は限定的だった。
玉城氏は県政運営への評価が高い無党派層や国政野党支持層の票を固めた。中学生までの医療費無償化など実績もPRし、支持を集めた。若者への支援策を重視したことや生い立ちなど人柄を打ち出す姿勢も奏功した。
前回知事選の雪辱を目指した佐喜真氏は、前回選以降、政治の表舞台に立たなかった政治的ブランクが響き、今回も知名度不足を克服できなかった。コロナ禍などを念頭に「経済危機突破」を掲げたが、夏場に入り入域観光客数などは回復傾向で、訴えは広がりを欠いた。「県政不況」を訴え保守が県政を奪還した1998年知事選の再現を狙ったが、上滑りした。
旧統一教会と政治の関係が議論になる中、佐喜真氏の関連団体会合への出席が表出したことも影響した。「誤解を招く経緯があった」と釈明に追われたが、公明支持層や無党派層の支持拡大の足かせとなった。下地氏は斬新なイメージ戦略やSNSの活用、基地問題の解決策提示で新たな票を掘り起こしたが及ばなかった。
(塚崎昇平、知念征尚、明真南斗)