沖縄の日本復帰50年の節目の年に迎えた県知事選で、県民は今後の沖縄のかじ取りを現職の玉城デニー氏に再び託した。「新時代沖縄のさらに先へ」。実績面で批判にさらされながら乗り切った選挙戦。名護市辺野古の新基地建設問題や新型コロナウイルス、物価高対応など難題が山積する中、キャッチフレーズを実感できる沖縄を形作っていけるのか。2期目に真価が問われる。(’22知事選取材班)
沖縄の日本復帰50年の節目に実施された第14回県知事選は玉城デニー氏が約34万票を獲得し、再選を果たした。争点となった米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に対し、反対する県民の意思が根強いことが改めて示された。今選挙は玉城県政への「信任投票」の色合いも濃く、県民は新たな沖縄振興のかじ取り役を玉城氏に委任したといえる。ただ、知事を支える「オール沖縄」勢力の退潮も指摘されており、多様な県民意見に向き合う県政運営が求められる。
選挙戦で玉城氏は辺野古新基地建設に反対したのに対し、自民、公明の政権与党が支援した佐喜真淳氏は移設を容認した上で振興策の推進を訴えた。新基地建設の賛否を巡る対立軸や、オール沖縄が政権に対峙(たいじ)する構図が明確となる中、多くの県民が移設反対の玉城氏の主張に共感した形だ。旧統一教会と政治との関わりや、安倍晋三元首相の国葬を巡り、岸田内閣の支持率が低下したことも玉城氏の追い風となったとみられる。
選挙戦さなかの8月末、2023年度の概算要求で、政府は沖縄関係予算を22年度概算比200億円減の2798億円と決定した。玉城氏が当選したことで、予算などを巡って、政権の「揺さぶり」も予想されており、玉城県政の政治交渉力が問われる。さらに、今選挙戦では玉城県政の公約達成率の低さも指摘された。新たに学校給食の無料化などを公約として掲げたが、その実現に向けた政治手腕が焦点となる。
(池田哲平)