自転車活用で地域振興、観光、生活向上の資源に りゅうぎん総研、施策展開へ実態調査


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都市部を中心に普及が進むシェアサイクリング。県民による通勤以外に観光客の利用も増えている=12日、那覇市泉崎

 新型コロナウイルス禍をきっかけに健康増進や交通渋滞の緩和といった観点から注目されている自転車について、りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)はインターネットを使い、観光を含む地域振興活用に向けた利用に関する実態調査を実施している。自転車活用に関する県民や観光客の意識や実態を把握し、根拠に基づいたより具体的な提言・施策の展開につなげたい考えだ。

 自転車に関する調査は2020年に引き続き実施。20年には旅行で自転車を活用する「サイクルツーリズム」を調査し、冬の閑散期の観光コンテンツに提案している。

 今回の調査で質問は県民向けと観光客向けに分類されている。県民には利用の有無やその理由、移動距離など、生活者目線で自転車に対する認識を問う。

 観光客への質問では、来県目的や宿泊日数、滞在にかかる費用、自転車観光の有無や需要の掘り下げなど、観光コンテンツ創出の可能性をより探る内容になっている。

 自転車は、速さや効率だけではない乗り物として、その活用について世界で関心が高まっている。日本でも、2016年に自転車活用推進法が施行され、18年には自転車活用推進計画が閣議決定された。同計画は(1)環境(2)健康(3)観光(4)安全―の4分野の整備を目標に掲げ、自治体や企業、民間団体などと連携した活用が進み始めている。

りゅうぎん総合研究所の調査に関するQRコード

 瀬戸内海を横断する「しまなみ海道サイクリングロード」でつながる広島県や愛媛県は推進計画を策定しており、自転車による観光振興やまちづくりに力を入れている。沖縄でも県と名護市が計画を策定しているが、他市町村の取り組みが遅れているため効果は限定的となっている。

 りゅうぎん総研の及川洋平研究員は「県内でも複数の市町村が推進計画を策定すれば連携も可能となり、観光や暮らしに関する施策が効果的に連携できるようになる」と呼び掛けている。

 調査の締め切りは10月末までだが、23年初期にも実施を計画している。調査は、次のQRコードから参加することができる。
 (小波津智也)