糸満市場で皆の空腹を満たした「カネヤマ食品」、47年の歴史に幕 弁当や総菜、地域に愛され 沖縄


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カネヤマ食品の店頭に立つ上原栄子さん=6日、糸満市場いとま~る内

 【糸満】糸満まちぐゎー(糸満市場)に来る人たちの空腹を満たす弁当店で、行事ごとでは欠かせない総菜やオードブルなどを製造・販売しているカネヤマ食品が9月末に、約47年の歴史に幕を閉じる。

 カネヤマ食品は西崎町に工場があり、7人ほどの従業員が働いている。午後11時から仕込みを始め、午前6時には「糸満市場いとま~る」に商品を並べて開店を迎える。

 店頭に1人で立つのは上原栄子さん(69)だ。お義母(かあ)さんの代わりに約40年、店を切り盛りしてきた。上原さんは「うちがなくなることで法事や行事などの際に困る人もいるかもしれないね」と寂しそうな表情を見せた。

 店を始めた当初は、市場は朝5時にはにぎわいを見せていたという。周辺にコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店が増え、時代の流れとともに客足は減っていった。糸満市場の建て替えを機に撤退した店もあり、朝の市場に八百屋がなくなったことで足を運ばなくなった客もいるという。

 上原さんは「お客さま、お得意先のお店もお世話になって、ありがとうございます。言葉では言い尽くせないくらいです」と、これまでの思いを振り返った。
 (川嵜紋通信員)