行政保有情報「オープンデータ」市町村公開率 沖縄が最低26.8% 「機会の損失」懸念 全国平均は71%


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 行政が保有する情報を誰でも無償で二次利用できるように公開する「オープンデータ」について、県内の市町村の取り組み率が全国最下位となっていることが19日までに、分かった。デジタル庁によると6月28日現在、県内で取り組んでいるのは全41市町村のうち11市町村で割合は26・8%にとどまる。全国の市区町村は1270団体で割合は71%だった。

 取り組みが遅れると、民間がデータを活用した新たなサービスを生みだすことが難しくなるなど、機会の損失につながることが懸念される。行政内部でも、施策の基礎となる客観的なデータが利用しづらい状態のまま残され、業務の非効率化につながりかねない。

 2016年施行の官民データ活用推進基本法では、国や地方公共団体の保有するデータを、個人・法人の権利や国の安全が害されないようにした上で、国民がインターネットなどを通じて容易に利用できるよう必要な措置を講じるとしている。

 沖縄県も含め全都道府県はオープンデータを公開している。だが県内市町村ではIT知識のある人材が不足したり、利用者からの需要が少なかったりして取り組みが遅れている。

 県外では、校区情報を用いた不動産検索サービスや、バリアフリートイレマップなどの活用事例がある。

 県は「県オープンデータカタログ」を立ち上げている。合わせて約1600のデータを公開しているが、コンピューターが判読しづらい「PDF」形式が大半だ。オープンデータの形式としては利用しづらく、課題が残る。

 21年度に設置された県デジタル社会推進課の担当者は「市町村からすると、オープンデータのメリットが見えにくいため手間をかけてまで取り組んでこなかった。市町村を支援しつつ、県もデータの質を高めたい」と話した。
 (梅田正覚)


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