「方法が分からない」「人員が厳しい」…市町村に課題 沖縄県は「手順書」で支援へ 行政保有情報「オープンデータ」公開率最低


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 「オープンデータ公開の手順・方法が分からない」(東村)、「人員体制が厳しく、その他業務も多いことから、具体的な検討や取り組みができない」(西原町)―。オープンデータの取り組みができていない県内市町村は、デジタル庁のアンケートに対して知識や人材の不足を理由に挙げた。県と沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)は連携し、市町村への支援を本格化させる考えだ。

 デジタル庁に届け出た県内のオープンデータ取り組み済み自治体は、県と那覇市、浦添市、名護市、豊見城市、うるま市、読谷村、北谷町、北中城村、中城村、南風原町、南大東村だった。

 那覇市は専用HP上に、指定緊急避難所の場所や地域ごとの年齢別人口などの情報をコンピューターが判読しやすい「CSV」などの形式で掲載している。

 県は16日に公表した「県DX推進計画」で、証拠に基づく政策立案(EBPM)の推進に向け、オープンデータの充実を基本施策に掲げた。今後、市町村支援としてオープンデータの手順書を作成する。県担当者は「県が市町村へ手取り足取りの伴走型で支援していく」と述べた。

 ISCOは本年度、県内市町村のサイトに掲載されているPDF形式のデータを、コンピューターが判読しやすい形式に修正することを支援する。来年度以降は、市町村のデータを国際規格のプラットフォームに適した形式に簡単に変換できる仕組みを構築する計画だ。

 県内市町村の中で最も取り組みが進む那覇市は、デジタル庁のアンケートに、個人情報や機密情報などを除き、原則全てのデータが公開対象だが優先順位をつけ取り組んでいくことになるとして「その際ニーズの有無が問題となる」と、どの産業がどういったデータを求めているのかを把握する必要性があるとした。また「公開が望ましいデータを『推奨』するのではなく、公開すべきデータを『義務化』し、それぞれの事業を所管する省庁から各所管宛てに通知していただけると推進しやすくなる」と国に対して要望した。

 限られた人的資源の中で優先順位を設定するための適切な需要の把握と、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する行政内部の意識の差を埋める工夫がオープンデータの広がる鍵となりそうだ。
 (梅田正覚)


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