歌と語りで沖縄戦と戦後史を描く 演劇「島口説」、城間やよいと知花小百合の2人芝居 浦添市で公演


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劇中に酒場の女主人スミ子を2人が交互に演じ、観客の心をつかむ城間やよい(左)と知花小百合=16日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホール

 演劇「島口説(しまくどぅち)」(謝名元慶福脚本、藤井ごう演出)が16日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホールで上演された。城間やよいと知花小百合による2人芝居。歌と踊り、語りに乗せて主人公の山城スミ子の半生と家族の葛藤を描きながら、沖縄戦、戦後史を浮かび上がらせる。歌三線は平良大。

 舞台は米軍基地の街・沖縄市にある民謡酒場「スミ子の店」。店で働く2人の女性が、沖縄戦を生き延びたことを語り出す。米軍による土地接収など、戦後の悲しみや怒りを三線の音色に込め、明るさと笑いで乗り越え生き抜く姿を描いた。ウチナーグチとウチナーヤマトグチの2人の掛け合いが、観客の心をつかみ、時に笑いに包み、沸かせた。

 沖縄の日本復帰50年企画として、今年5月に那覇市のひめゆりピースホールと東京都内で上演した。今回は企画制作のエーシーオー沖縄の呼びかけで、県内4館での上演が実現した。

 演出家の藤井は、主人公のスミ子について「特別なヒーローだったりヒロインであったりしないというのがポイントだ。巻き込まれてしまうものに対してどう対峙(たいじ)するのか。よく『力強い』という言葉が出てくると思うが、ウチナーのおばあの集合体という感じで、それぞれ共通する部分がたくさんある」と説明する。「(城間と知花の)2人になって4年目。今が一番熟成して良い状態だ。お客さんと一緒に舞台をつくり上げさせてもらい、作品の奥深さと現代性が現れたらと思う」と意気込みを語った。
 (田中芳)


 23日に西原町さわふじ未来ホール、25日に南風原町中央公民館黄金ホールで上演がある。開演はいずれも午後2時。前売は一般千円、高校生以下500円(当日は一般のみ300円増。未就学児入場不可)。問い合わせは各ホール窓口、またはエーシーオー沖縄の公式サイト参照。