国連科学サミット 沖縄のより良い未来を探る 自然や文化の課題を議論


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科学サミットの沖縄セッションの登壇者ら=20日、オンライン

 今月13日から開催されている国連総会に合わせて、第8回科学サミットの沖縄のセッションが20日、オンラインで開かれた。「可能性を秘めた小さな島~パートナーシップを通じた沖縄のより良い未来の創造」をテーマに、琉球大の西田睦学長、琉球大工学部の瀬名波出教授、OIST客員研究員のオリガ・エリセーバさん、沖縄美ら島財団の花城良廣理事長が登壇した。

 瀬名波さんは、排ガスから回収した二酸化炭素を海藻の養殖に使う仕組みを構築している。障がい者雇用の拡大にもつなげたい考えで、簡易的な養殖設備を障がい者施設に持ち込み、海ブドウの養殖ができないか試行錯誤している。瀬名波さんは「『技術が社会を優しくする』を目指している」と話した。

 女性の健康などを研究するオリガさんは、月経痛や更年期など主に女性特有の健康問題に対する社会の理解や研究が進んでいないと指摘した。専門家の育成や研究データの構築が必要だとした。

 オリガさんは「アジアは痛みを我慢して社会に合わせる文化がある。自分の体を大事にするというヘルスリテラシーを上げる必要がある」と話し、沖縄でアジア女性健康研究所と医療センターの設立を目指していると紹介した。

 西田学長は、沖縄に国立自然史博物館を造る構想の意義について、生物多様性の高いアジア地域と連携できる博物館の存在が必要だと強調した。「沖縄はサンゴ礁やマングローブ林がすぐに車で行ける距離にある。標本の生き物が実際に生きている場所が近くにあり、極めて重要な条件だ」と話した。

 沖縄美ら島財団は、琉球料理の復元研究を進めている。美ら島が島ニンジンの栽培技術をサポートして、中城村がブランド化している琉球料理の素材確保の事例を紹介した。

 花城理事長は「琉球料理の素材や手法は消えつつあるが、途絶えさせないよう研究し、つなげていきたい」と話した。

(中村優希)