西原の沖縄戦、その実相は…町内の教諭らが学ぶ 町教委が平和教育研修


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(左)第1部で講話する沖縄市平和ガイドネットワークの仲本和男さん(右)第2部で講話するニシバル歴史の会の瀬戸隆博さん=西原町さわふじ未来ホール

 【西原】沖縄県西原町平和教育研修会がこのほど、西原町さわふじ未来ホールで、町立の小学校4校・中学校2校の教諭220人余が参加して開催された。主催した町教育委員会の新島悟教育長は「本研修会が今後、平和教育を指導する先生方のバックボーンとなり、各学校で平和教育の推進につながることに期待する」とあいさつした。

 講話の1部は、沖縄市平和ガイドネットワークの仲本和男さん(82)が「沖縄戦の全体像、その経緯について」の主題で講話した。「米軍が上陸し凄惨な地上戦が行われた沖縄戦は、軍人より住民の死者が多く県民の4人に1人が犠牲になった。特に西原村(現西原町)は市町村別の死者の割合が高く、約5割が亡くなった」と話した。

 2部では、ニシバル歴史の会の瀬戸隆博さん(56)が「西原町での沖縄戦 戦争被害等について」をテーマに西原町史や沖縄県史の資料を基に講話した。「当時の西原村民の戦没率は46.9%で5106人が亡くなり、南部で3420人、村内では736人、北部では236人となっている。南部での死没が多いのは、兵隊が守ってくれると行動を共にしたためと考えられる」と話した。

研修会に参加した西原町内の小中学校教諭ら

 西原小学校校長の大庭真由美さん(56)は「仲本先生の講話を聞いて思ったことは、今までは先輩や親や祖母から聞けた戦争体験が、近い将来聞けなくなると感じ、今日は貴重な機会だと痛感した。私が異動しても、(平和教育の教材などを)子どもたちや職員に形として残し、受け継いでいく。それが先日書き下ろした紙芝居『さとうきびの村の祈り』になるのだとあらためて思い、やって良かった」と話した。

(小波津昭子通信員)