沖縄県、補助金返還要求も シイタケ産地偽装 「県産」前提180万円受給、パッケージデザインなど 


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「沖縄しいたけ田中」の工場入り口付近に並ぶ自社製品の干しシイタケ=23日、恩納村名嘉真

 恩納村名嘉真でシイタケを栽培する「沖縄しいたけ田中」(田中未一郎社長)が産地を偽り、県産品として商品を販売していた問題で、同社に補助金を支出していた県産業政策課は「関連法令違反があれば、返還を求める可能性がある」とした。

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 沖縄しいたけ田中は2021年度に県から産業振興基金補助金180万円を受給した。パッケージデザインやホームページ作成費用に充てたという。県は「交付決定条件には、関連法令違反があった場合は一部または全額の返還を求めるとある」と指摘し、事実確認を急いでいる。「県産シイタケの生産を前提とした補助金なので前提から揺らいでいる」とした。

 同社は新商品の開発や新サービスの提供に取り組む中小企業を支援する「経営革新計画」制度で県から承認を受けている。県中小企業支援課は「(産地偽装が)計画承認取り消しの事由に当たるか、恩納村商工会を通じて確認している。承認取り消しの可能性もある」としている。

 同社は宮崎県でシイタケ生産を手掛ける事業所のグループ会社として、18年に「OKINAWA BIO SHIITAKE」として設立。20年には自社で製品化までするスパイス「しいたけスパイス凛」が、県商工会特産品コンテストで優秀賞を受賞した。恩納村のふるさと納税の返礼品にもなっている。21年に「沖縄しいたけ田中」に社名変更した。

 田中社長は「スパイス凛は工場でシイタケを細粒化し、袋詰めする。県外産はなく、ほぼ県産シイタケを使用している」と説明した。県商工会連合会は「報道を見て驚いている。対応はこれから内部調整するが(スパイスは)県産品として出されていたと認識している」と述べた。

 (玉城江梨子、高辻浩之)

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