精神科病院の改善訴え 国連委に参加し報告 沖縄の障がい者団体


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国連障害者権利委の対日審査傍聴結果を報告する自立生活センター南十字星の砂川洋輝代表(左から2人目)、NPO法人県自立生活センター・イルカの長位鈴子代表(同3人目)ら=26日、県庁

 日本が締結している障害者権利条約の履行状況を確認する、国連障害者権利委員会の対日審査が8月にスイス・ジュネーブで開かれ、沖縄からNPO法人県自立生活センター・イルカの長位鈴子代表や自立生活センター南十字星の砂川洋輝代表ら6人が傍聴参加した。うるま記念病院など国内の精神科病院で新型コロナウイルス感染の流行が相次いだことについて、ロビー活動で委員に問題を訴えた。

 同委員会は訴えを踏まえ、障がい者の強制的な入院や治療につながる法的規定を廃止し、障がい者が入所施設や精神科病院に入らずとも、支援を受けながら地域の中で自立して暮らせる国家戦略策定などを、日本政府に勧告した。

 9月26日に県庁で会見した長位代表は、精神科病棟の窓が小さく換気しづらいほか、精神科の空き病床で認知症の高齢者などを受け入れるなど「終末期の病院になっている」といった実情が、クラスター事例で明るみに出た点を挙げた。

 イルカの早坂佳之さんは、4年後にも行われる次の対日審査に向け「現在より進んだ状況を示さないといけない。後退や停滞は許されない」と強調した。

 イルカとDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、緊急報告フォーラムを10月5日午後1時半からオンラインで開催する。申し込みはQRコードから。

(知念征尚)