【識者談話】民主主義をないがしろにした象徴 安倍元首相国葬 親川志奈子氏(沖縄大非常勤講師)


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 先日、英国女王の国葬が行われたが、その際、旧植民地の人々から、英統治にあらがって亡くなった人たちのことや、発展の機会、言語や文化を収奪したことに対する旧宗主国としての責任を問う、辛らつな批判が上がった。

 今回の安倍晋三元首相の国葬実施にあたり、沖縄の私たちも同様に脱植民地化の声をことごとく弾圧した安倍氏の暴挙をあらためて思い起こす機会となった。選挙や県民投票を通じて、辺野古新基地建設に反対する民意、植民地主義にあらがう沖縄の人々は、安倍政権下でことごとくむげにされてきた。

 沖縄にとって安倍氏は、民主主義をないがしろにしてきた象徴的な人物だ。沖縄を質草に主権回復を遂げた歴史を祝い万歳三唱する姿がフラッシュバックしてつらい。

 今後、憲法改定などさまざまなことが「故人の遺志」だとして強行に進める流れが生まれるかもしれない。再び「美しい国」の捨て石とされぬよう、注視する必要がある。

(社会言語学)