「過労死ライン」超は29カ所 違法残業の事業所割合は低下も依然深刻 沖縄労働局が発表


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 沖縄労働局は30日、2021年度に実施した県内の長時間労働が疑われる256事業場に対する監督指導結果を公表した。違法な時間外労働があったのは32%の82事業場だった。11・3%に当たる29事業場で、最も時間外・休日労働の長い労働者の時間数が厚生労働省の示す「過労死ライン」の月80時間を超えた。違法な時間外労働の割合は20年度から減少したものの、依然として過労死ラインを越える深刻な長時間労働が存在している。

 長時間労働が疑われる事業場は、労働基準監督署に寄せられた情報などから選出した。

 20年度と比較し、21年度の法令違反の割合は12・6ポイント減少した。一方で、最も時間外・休日労働が長い労働者の時間数が、1カ月当たり80時間を超える事業場は35・4%で同9・3ポイント増だった。うち100時間超は28・0%で同8・9ポイント増、150時間超は9・8%で同4・6ポイント増、200時間超は3・7%で同2・8ポイント増となった。県内の労働基準監督署が立ち入り調査を実施した事例では、月に246時間の時間外・休日労働をしていたケースもあった。

 賃金不払残業があった事業場は全体の9・4%に当たる24件で、同3・4ポイント増となった。調査した製造業で、労働者の時間外労働を把握していながら、残業申請がないことを理由に割増賃金を支払っていなかったことに対して是正勧告をした。

 沖縄労働局の西川昌登局長は、時間外労働が長時間化していることについて「コロナ感染などで休業した人の補塡などで残業時間が増えたのではないか」と推測した。
 (與那覇智早)