いじめの過去乗り越え「社会でも前向きに」 泊高校での出会いが自信に 泊高校定時・通信制卒業式


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泊高校定時制課程午前部を卒業した奥平華音さん

 「楽しい思い出がいっぱいで、先生方や友人と離れたくありません」。卒業式で、沖縄県立泊高校定時制課程午前部を代表し、壇上で卒業の思いを語った奥平華音さん(19)。中学時代はいじめが原因で、ほとんど学校に行けなかった。泊高校での友人や教職員との出会いが、学校へ行くことの不安を消し、学びの楽しさを感じられるようにしてくれた。「社会でも前向きに楽しく活躍できる」と、自信に満ちた表情で答辞を述べた。

 人間不信だった中学時代。1、2年生の頃は週に2~3回登校できたが、3年生では1年間で10日ほどしか学校へ行くことができなかった。部屋に引きこもり、昼夜逆転の生活を送った。家族が心配していることも分かっていた。「変わりたい」。でもどうしたらいいのか分からなかった。

 家族らの勧めを受け、泊高校定時制課程に進んだ。定時制には夜間部もあったが、「自分を変えるため」あえて午前部を選んだ。久しぶりの学校生活。人見知りな性格もあり、なかなか同級生に話しかけることができなかったが、時間をかけて声をかけると、自分と似たような体験をした人を見つけることもできた。次第に気持ちが明るくなり、以前は大嫌いだった学校行事も待ち遠しく思えるほどになった。

 「あっという間の高校生活だった」。楽しい学校生活は、中学時代と違った時の流れを感じることができた。保育士になる夢を持つこともできた。「友だちができてよかった。いろんな人にありがとうと言いたい」。今後はアルバイトに励み、学費をためて、専門学校へ進学する予定だ。

(嘉数陽)