沖縄観光需要回復、全国旅行支援の期待高く 3連休は動き緩やか 人手不足、サービス低下懸念も


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家族連れや修学旅行生などで賑わう国際通り=7日、那覇市の国際通り

 新型コロナウイルスの感染状況が改善するにつれ、これまでは抑えられていた沖縄観光の需要が回復している。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB、下地芳郎会長)は、10月11日から全国を対象とした観光需要喚起策の全国旅行支援として、沖縄を目的地とする旅行に対して割引する「おきなわ彩発見NEXT」が実施されることなどから、10月の国内観光客数は65万人となりコロナ前の2019年度を上回ると見込む。一方で8~10日の3連休は、11日からの全国旅行支援の開始を待つ人も多く、観光客の動きは予想されていたより緩やかになりそうだ。

 観光業界は全国旅行支援の効果に期待する一方で、本格的に需要が回復するまでに人手不足という大きな課題を解消する必要に迫られている。

 航空予約は堅調

 全国旅行支援の後押しもあって、航空予約は回復している。日本トランスオーシャン航空(JTA)の10月の予約数は21年同月の2倍弱に伸び、19年の約7割となっている。県内の新規感染者数が1日当たり千人を下回ってから堅調に推移している。担当者は「このまま予約が青天井に伸びてほしい」と話した。

 3連休の期間、スカイマークの那覇空港発着路線の予約率は約80%で、19年同時期と比較しても遜色ない水準に戻ってきているという。担当者は「全国旅行支援の影響は徐々に予約数に現れてきている。これが引き金となりコロナ前の水準まで需要が戻れば良い」と話した。全日本空輸(ANA)の担当者は「10月以降の旅行者数は今までより伸びるだろう」と予測した。

 11日から開始される全国旅行支援は、代金割引とクーポン配布で1人1泊当たり最大1万1千円を支援する。インターネットを通じて旅行商品を販売する事業者(OTA)を通しての予約が必要だ。11日までに対象期間内の予約をした場合、後ほど返金される仕組みを取るOTAが多い。申込方法や手順が分かりづらいとして、ホテルや旅行会社に直接の問い合わせも多くあるという。

 稼働に限界も

 恩納村のリザンシーパークホテル谷茶ベイの3連休の稼働率は約7割だ。昨年の約1.4倍、19年の8割まで回復した。森正人専務は今後の全国旅行支援に期待する一方で、人手不足によるサービス低下や社員への負担を懸念する。「今の人手では7割の稼働が限界だ」と窮状を訴える。

 那覇市のパシフィックホテル沖縄でも人材不足は顕著で、國吉眞和総支配人は「稼働は最高でも8割までしか対応できない」とした。 (與那覇智早)