1期4年の現市政の評価と子育て施策や経済振興が争点となった豊見城市長選は新人で前市議の徳元次人氏が初当選を果たした。3期12年の市議としての取り組みに加え、英語教育への特化や都市型公園の整備などの訴えが市民から支持を得た。市民の市政刷新への期待の表れといえる。
前回2018年の市長選では当時現職の宜保晴毅氏と、徳元氏ら保守系市議が支援する市議の宜保安孝氏が出馬し、保守分裂となり、共倒れとなった。
その反省を踏まえ今回は市政奪還を目指し、保守一本化に成功。宜保前市長も徳元氏の応援に入り、出発式や打ち上げ式などで支持を訴え、保守票を手堅くまとめた。
市議会で圧倒的多数の野党市議がそれぞれの地域で演説し、政策の浸透を図り、徳元氏は企業の朝礼や各種団体の集会に積極的に参加して知名度向上に努めたことが奏功した。建設業などで構成する市内9団体を含め、組織票となる企業票を固めるなど、堅実な選挙戦を展開したことが勝因となった。
現職の山川仁氏はパワハラ疑惑でのイメージ悪化などが響き、逆風をはね返せなかった。自身が1期目から掲げた給食費の段階的無償化や高校生までの医療費窓口無償化などの公約も市議会多数の野党に反対され、実現には至らなかった。公約が実現できなかった山川市政への不満が市政奪還を訴える徳元氏への追い風となった。
徳元氏が今回の選挙戦で掲げた公約を達成するためにも、来年2月12日投開票の市議選で、現在の過半数を維持できるかが鍵となる。
(照屋大哲)