10月上演の3作品、作品に込めた思いや見どころは? 出演者や演出家に聞く〈秋を楽しむ 劇場へ行こう〉下


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 秋から冬にかけて音楽や演劇などのさまざまな公演が県内各地で開催される。連載(下)は、10月に上演される演劇3作品から作品に込めた思いなどを出演者や演出家に聞いた。

「ホントに?」 田原「ばかばかしさを徹底追求

「ホントに?」に出演する(左から)犬養憲子、岩田勇人、与那嶺圭一、ジョーイ大鵞=10日、那覇市安里のシアターテン

 西田シャトナー作、田原雅之演出「ホントに?」が15、16日の両日、沖縄市民小劇場あしびなーで開催される。俳優の犬養憲子芸歴30周年の記念公演企画。出演は犬養(芝居屋いぬかい)、ジョーイ大鵞(劇団ビーチロック)、与那嶺圭一(劇団チームスポットジャンブル)、岩田勇人(よしもと沖縄)。

 物語は英会話教室で出会った男性4人が繰り広げるSF風コメディー作。1人8役ほどを演じるのも見どころ。犬養は「自分たちが楽しめるものをやりたいと30周年に再演したかった。50代になっても、元気でばかをやっているところを見てもらえたら」と話した。田原は「ばかばかしさを徹底的に追求したエンターテインメント。単純な話をいかに壮大に立ち上げるか照明や音響も力を入れて取り組んでいる」と語った。

 開演は15日午後2時と6時、16日は午後1時の計3回。問い合わせは芝居屋いぬかい、電話090(3795)4049、ステージサポート沖縄、電話070(5488)1863(平日午前11時~午後7時)。

「72’ライダー」 真栄平「70年代とリンクさせたい

「72’ライダー」の作・演出を務める真栄平仁(ひーぷー)=4日、那覇市

 劇団O.Z.Eの演劇「72’ライダー」(真栄平仁作・演出)が20、21の両日午後7時から、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホールで上演される。

 同作は沖縄が日本に復帰した翌年、国会議事堂の正門へバイクで激突し亡くなった恩納村出身の上原安隆さんをモチーフに創作された。初演は復帰40年の2012年。今年5月に再演され話題を呼んだ。

 舞台は1972年生まれの50歳の「復帰っ子」同窓生が集う現代と復帰前後の場面を描く。ジャーナリスト・森口豁の著作や映像の台本などを参考にせりふやシーンを作り、劇中に本物のオートバイや安隆さんが着用していたヘルメットを使用している。

 真栄平は「70年代と現代をよりリンクさせたい。復帰を知らない若い世代に見てもらい、バイクの音が復帰前後の県民の何を現していたかを感じてもらえたら」と話した。問い合わせはてだこホール、電話098(942)4360。

「イミグレ怪談」 神里「背景に社会反映

「イミグレ怪談」を上演する劇作家・演出家の神里雄大(那覇文化芸術劇場なはーと提供)

 劇作家・演出家の神里雄大の劇団「岡崎藝術座」と「なはーと」の共同製作による新作ホラーコメディー「イミグレ怪談」が28~30日の3日間、那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で上演される。9月22日、記者会見が同劇場で開かれた。

 会見では、神里が昨年、沖縄に半年間ほど滞在した際に上演した「琉球怪談」(小原猛原作)に触れ「怪談のように、語りで想像を膨らませて楽しむのは演劇の在り方そのものなのではないかと興味が沸いた」と振り返り、「怪談には背景に自分たちが住んでいる社会や文化が反映されている。幽霊や妖怪が土地を買えたらどうなるのかという単純な疑問からスタートした」と経緯を語った。

 上門みきら4人のキャストが出演する。英語とスペイン語の字幕付き。開演は28日と29日は午後7時、30日は午後1時から。問い合わせはなはーと、電話098(861)7810。