<とちぎ国体を振り返る>沖縄県勢、5競技で頂点、総合34位に躍進 離島の不利性やコロナ禍はねのける


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栃木国体のなぎなた競技で総合優勝を果たした(前列左から)泉水ほのか、城間こころ、平安名はな(後列左から)栄野川里美監督、安次嶺心、上村奈央、上地星菜。

 第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」は11日に閉幕した。県勢は33競技に出場し、弓道、ビーチバレーボール、なぎなた、重量挙げ、軟式野球の5競技で頂点に立ち、男女総合34位に入った。3年前に開かれた前回茨城国体の42位から躍進して、目標の30位台を達成した。県勢の活躍を振り返る。

■女子団体で躍進

 団体戦で女子チームの奮闘が目立った。弓道の成年女子は6年ぶりの出場で外間みゆき(EYストラテジー・アンド・コンサルティング)、有水ゆい(琉球大)、益本奈緒子(一度描いたら忘れないノート)が近的で優勝した。会期前競技で金メダルをもたらし、好発進を決めた。

 なぎなたも強豪県として期待通りの結果を残した。少年女子は首里高チームが演技で優勝し、団体試合で準優勝を飾った。成年女子も5位入賞を果たし、13年ぶりの総合優勝へとつなげた。

 ボウリングは成年女子が4人チーム戦で銅メダルをつかんだ。ハンドボールの成年女子は準々決勝で強豪に敗れたが5位入賞した。

■変わらぬ強さ

重量挙げ成年男子81キロ級のジャーク最終3回目で、180キロを挙げる宮本昌典=7日、栃木県の小山市立体育館

 総合成績で16度の優勝を成し遂げてきた“お家芸”重量挙げの強さが今大会も光った。男子81キロ級の宮本昌典(東京国際大職)、女子55キロ級の佐渡山彩奈(いちご)が優勝した。男子109キロ超級の知念光亮(同)はスナッチで193キロの日本新記録を樹立したほか、各種階級で県勢が上位に食い込んだ。15年の和歌山国体以降は総合優勝から遠ざかっていたが、3年ぶり開催の国体に照準を合わせてきた。
 前回大会は4位で表彰台に一歩届かなかった軟式野球の成年男子選抜チームは、3年前の強さを維持しながら新戦力が融合して快進撃を続け、決勝進出を果たした。九州勢対決となった決勝は劇的なサヨナラ勝ちで35年ぶりに栄冠を手にした。

 ビーチバレーの少年男子は源河朝陽・安仁屋光葉(西原高)が頂点に立ち、同種目の県勢2連覇を達成した。会期前で弓道の成年女子と同日優勝を果たし、沖縄チームを勢い付けた。

■地道な取り組み開花

 ジュニア時代から沖縄でもまれてきたゴルフ成年男子の宮里海翔(東北福祉大)、新城ディラン唯人(同)、仲里健人(大阪学院大)がそれぞれ成績を伸ばし、宮里は個人3位、団体で準優勝に輝いた。これまでの県勢5位から大きく飛躍した。競泳の400メートルリレーでは、少年男子Bで7位に入り国体リレー種目初となる入賞を果たした。ラグビーの成年男子は決勝トーナメント進出とはならなかったが、31年ぶりに出場し手応えをつかんだ。

国体制覇を喜ぶ軟式野球成年男子のメンバーら=10日、栃木県の宇都宮清原球場(砂川博範撮影)

 競技人数の多い団体競技に高得点がつく算定で、軟式野球の優勝のほかハンドボールが5位になったことも大きかった。一方で伝統的に強いソフトボールは今大会の出場がかなわなかった。日本代表級を輩出してきたレスリングも入賞は準優勝一つだけと振るわず、選手育成やチームづくりなどで課題も見えた。個人種目では県出身者が他県代表として活躍する姿も多かった。底上げは着実に実を結んでいる。

 離島県という不利な環境下に加え、コロナ禍が続いた。それでも前回を上回る結果につなげ、逆境をはねのけた。来年は鹿児島国体。ブロック内開催となる九州予選の突破は、厳しさが増すだけに早めの態勢づくりが求められる。

(栃木国体取材班・謝花史哲、砂川博範、小川昌宏、明真南斗、安里洋輔、斎藤学)