PFOS血中濃度、北谷で全国平均の3.1倍 市民団体が米軍基地周辺など沖縄の6市町村387人調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
PFAS調査の採血=7月、嘉手納町

 人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が米軍基地周辺から高い値で検出されている問題を受けて、市民団体は15日、沖縄県内6市町村で実施したPFASの血中濃度検査の分析結果を発表した。環境省が行った2021年度の全国調査と比べ、各地で高い値が検出された。PFOSは北谷町で1ミリリットル当たり12・2ナノグラムと全国平均3・9ナノグラムの3・1倍、PFOAは金武町で6・7ナノグラムと同2・2ナノグラムの3倍、PFHxSは同じく金武町で14・3ナノグラムと同1・0ナノグラムの14・3倍だった。市民団体は沖縄全域だけではなく、日本全土での疫学調査とそれに基づく対策、米軍基地立ち入り調査による汚染源の特定と除去を強く求めた。

 検査は「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」が6~7月、米軍基地がある沖縄、宜野湾、金武、嘉手納、北谷の5市町と基地からの影響がないと想定される大宜味村の計6市町村で実施。18~95歳の387人(男性176人、女性211人)から採血し、京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析した。

 PFASの基準については、国は20年に水質に関する暫定目標値(1リットル当たりPFOSとPFOAの合計50ナノグラム)を設けているが、血中濃度など健康に関する基準などを定めていない。

 一方、ドイツは対策を要する血中濃度の目安として1ミリリットル当たりPFOS20ナノグラム(妊娠適齢期の女性は10ナノグラム)、PFOA10ナノグラム(同5ナノグラム)と定めている。今回の検査結果ではドイツの目安値を超える住民が6市町村全てで合わせて27人確認された。

 水道水をそのまま飲んでいる人ほど血中濃度が高い傾向が見られたほか、年代では60歳以上、性別では男性の方が高くなっていることも確認された。
(新垣若菜、安里周悟)