公文書条例の制定要請 識者ら県の管理「不十分」


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要請書を池田竹州副知事(右)に手渡す我部政明琉球大名誉教授=18日、県庁

 沖縄対外問題研究会(代表・我部政明琉球大名誉教授)は18日、県庁に池田竹州副知事を訪ね、県の公文書管理が不十分な状態だとして、県公文書管理条例の制定を求める要請文を手渡した。

 要請文では、2001年に県が情報公開条例を制定したことで「行政の情報公開の責務が確保された」とした。一方、適切な公文書の保管が実施されていない現状について「現在および将来の県民への説明責任を果たしているとは言えない」と指摘した。その上で公文書の適切な作成と管理が情報公開制度の適正な運用に必要だとして、日本復帰50年に際し「今こそ将来を見つめ、過去に学ぶ県を築くために、公文書管理条例の制定に取り組むべきだ」と求めた。

 我部氏は要請後に県庁記者クラブで会見し、公文書が後世の道しるべになるとの認識を示し「公文書を残すことが、将来沖縄の人が幸せになるためには必要だ」と語った。その上で公文書が作成されない現状に危機感を示し「1日も早く文書を作り、県で残す体制を作ることが県民の利益に資する」と訴えた。

 要請を受けた池田副知事は、全国14の自治体が既に公文書管理条例を導入しているとした。さらに県が当該自治体に対する調査を昨年度から実施していることを明らかにした上で「条例制定も含めて研究、検討をしっかり進めたい」と述べた。

 (武井悠)