米軍北部訓練場返還地で発見した空き瓶などの廃棄物を訓練場ゲート前に置いて車の通行を妨げ、訓練場関係者の業務を妨害するなどしたとして、威力業務妨害と道交法違反の罪に問われた東村のチョウ類研究者の被告(44)の初公判が18日、那覇地裁(小野裕信裁判長)で開かれた。被告は「いずれも犯罪の成立について争う」と述べた。
東村と国頭村の米軍北部訓練場返還地に残された米軍由来の廃棄物問題を調査し、返還地の原状回復などを求めてきたチョウ類研究者の被告(44)。18日に那覇地裁で開かれた初公判で、弁護側は公訴棄却か無罪だと訴え、検察側の主張と真っ向から対立した。
審理されるのは1件の威力業務妨害罪と、3件の道交法違反罪。初公判前に開かれた集会では支援者ら約40人が被告を激励した。法廷の被告席には弁護団の8人も並び、傍聴席は埋まった。被告は検察側の主張に静かに手を合わせ耳を傾けた。
昨年12月の在宅起訴以降、争点などを確認する公判前整理手続きが重ねられた。争点は(1)今回の起訴が公訴権の乱用に当たるか(2)表現の自由によって保障された正当な行為として違法性が阻却されるか(3)威力業務妨害罪について、威力を用いたと言えるか―などが挙げられた。
検察側の証拠調べでは、当時の様子を撮影した複数の証拠映像を、傍聴席に見えるよう大画面に映すかどうかを巡り、やりとりが続いた。小野裕信裁判長は、傍聴席には見えないように約30分の映像1本を確認した後「他の関係者が多く映っているわけではない」などと指摘し、可能な範囲で大画面に映すよう提案した。検察側は準備に時間を要するなどとし、取り扱いの判断は次回期日以降に持ち越された。
閉廷後、報道陣の取材に応えた被告は、北部訓練場返還地に米軍廃棄物が残されている問題について「裁判を通じて多くの人に知ってほしい」と訴えた。